奈良県臨床検査技師会
検査研究部門担当 学術部長
丹羽 欣正
今回、近畿血液研修会を奈良県が担当して開催することとなりましたが、私自身この研修会に対しては極めて思いで深いものがあります。 それは16年前に、私が日本臨床衛生検査技師会(日臨技)の近畿地区全国委員であった頃、日臨技全国研修会の伝達講習を行う場所として「近畿臨床衛生検査技師会(近臨技)血液研修会」を開催したのが、本研修会の始まりであったと憶えております。
研修会の内容について少し触れますと、最初の頃のメインテーマといえば「白血病の特殊染色による分類」が大半を占め、FAB分類に添ったものが主流でありました。 それが今回は「悪性リンパ腫」に焦点があてられ、その臨床,病理,FISH法,フローサイトメトリー解析と悪性リンパ腫に対して多面的にせまるもので、新WHO分類あるいは検査血液学会による血液検査認定技師試験の影響を多分に受けたものとなり、時代の変遷を大いに感じているところであります。 特に血液形態学の世界は、主観的に判断する時代から出来る限り客感的に判断できるようにして標準化に結びつけようという時代に移ってきており、それがどんどん進められております。このように、血液学的検査の進展は形態学的検査のみならず凝血学的検査などいずれの方面でも流れが速くなっておりますので、うかうかしておられないということも同時に身につまされているところであり、さらに加えて勉強しても勉強しても終点のない世界であることも痛感している次第であります。
また、本研修会は内容ばかりでなく開催組織も大きな改革時期を迎え、今まさにそれを乗り越えようとしているところではないかと考えます。 それは、日臨技の部門別検査研究班制度が検査研究部門制度へと改編され、それによって本研修会の開催運営母体も自動的に変わったということです。 しかし、名称は変わっても“新しい知識を取り入れ、それを分かち合う”といった本研修会の大きな目標は変わっていないと思いますので、学問のみに限らず、あらゆる知識の伝播の場として、この研修会は今後ますます発展していくものと考えます。
最後に、この第16回近畿血液研修会が参加された会員の皆様にとって実り多いものとなりますことは受け合いですので、是非多方面より多数の方々に参加して戴けますようお願い申し上げます。
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