会長挨拶

21世紀に想う

  

(社)奈良県臨床衛生検査技師会 会 長  山 中  亨

 
  新世紀への移りについては何か音なしの感がしていますが、それは私だけでしょうか。1年の2000年問題の時は身に迫って来るような不利益に対して、自己防衛的な気配りが大変だったとも言えます。21世紀に入れば具体的に何か上向きになることがあると考えられれば、活気溢れた新世紀のスタートになるのかも知れないと考えています。この大きなポイントに立って思うところを述べてみたいと思います。
 社)奈良県臨床衛生検査技師会の運営につきましては会員各位のご理解と絶大なるご協力を賜りまして、平成12年度も順調に予定の事業を達成することが出発ました。単位技師会、地区技師会、日臨技というそれぞれの位置付けをした上で、大筋での役割を明確にして緊密な連携プレーが展開される下地が出来てきているように思われます。
 臨床検査の業務制限を求めた法改正運動も政治連盟が結成され、会員の全面的な協調を以って弾みをつけたいものであります。連盟会員数もアップして少しずつ体裁も整ってきているように見受けられます。検体検査においては無資格者でも就業できるという国の考え方を改めてもらい、法改正の下に臨床検査の業務制限を実現させてゆかなければなりません。これまで日臨技が展開してきた法改正運動で実現できなかったことを、政治連盟という政治的に評価される団体の要望として承認を取り付けようとしています。
 社)奈良県臨床衛生検査技師会は社団法人設立後は、法人としての役割を果たしながら講演会を開催して県民に臨床検査や臨床検査技師について理解を深めて頂けるような活動を展開して参りました。橿原市の健康祭りへの参画などを通して他の医療職との関わり具合なども表現する機会も得られるようになって参りました。糖尿病療養指導士への道もつけられました。既に日常的に施設内で糖尿病患者さんと一緒になって、例えば血糖簡易測定器のメンテナンスや精度管理面から患者さんの自己測定に関する指導に当たる等の業務を展開しているところもあります。
 このように臨床検査技師の業務については、生理検査の業務拡大もなされました。そして新しい医療技術の展開の中に名を連ねようと一層の業務拡大を目指した運動が展開されていますが、これらのものをどれだけ本当に自らのものにしたかという観点からすると首を捻らざるを得ません。このことは再三日臨技に対して技師会の大きな力を注ぎ込んで、確実に獲得してゆく努力を払うことをお願いしてきました。それも各単位技師会に努力せよという言葉だけでは決して前進できないと思います。ここにも単位技師会、近畿という地区技師会、日臨技という中央の組織が歩調を合わせて取り組む必要があるように思います。
 その一方で今臨床検査即ち臨床検査技師に求められるものは、本来持ち合わせていなければならない力量の確認であると考えます。医療チームの一員として診療科に対して何を提供するのか、診療上何を提供しなければならないのか、そして今何が出来ているのか考えなければならないと思います。社会的な発展をもたらした様々な分野における機器の高度化により、臨床検査の領域も自動化が進んだことによって検査技術や精度の維持も容易になった今、やっと本来持ち合わせることがベターである役割の認識が出来るようになったといえます。臨床検査を担当するものはその責任において患者さんの上に最大効果(意義)を発揮するようフォロウ出来なければならないと思います。並大抵のことで到達できるとは思えませんが、臨床検査を本道に構築する想いがあるならば避けられない高いこのハードルをこえる決意が必要であると考えます。
 平成13年1月1日を期して社)奈良県臨床衛生検査技師会のホームページを開設致しました。一般の方々に臨床検査や臨床検査技師についてのご理解を得て、法改正への後ろ盾の力を得られる事を念じております。会員各位におかれましては当会の運営の状況をご理解項きながら、このシステムを活用され各位の日常業務にまた生涯学習の上に情報を活かすことをお考え項きたいと考えます。
何か非常にもの静かな滑り出しの21世紀の始まりが、大きな変革をもたらす大切な節目になるような予感が致します。そうありたいという念願かも知れません。平成13年度もどうかよろしくお願い申し上げます。