倉 本 哲 央
我が国では、 21世紀に向けて高齢化社会を迎えようとしています。
本県の場合も、 平成22年には、 20.5%にもなるものと予測されています。
加齢に伴って有病率が高まるとともに、 病院における平均在院日数が長期化する傾向にある。
さらに、 生活水準の向上、 情報化の進展等による医療知識の普及、
健康に対する関心の高まり等から医療需要の多様化、
高度化が進展しています。
我々の病院は奈良県の南部にありますが、
昭和 47年4月に内科、 外科、 整形外科と病床80床で発足し、
現在は13診療科220床で稼動しています。
開院と同時に中央臨床検査部は3名の技師で稼動し、
部長一名 (兼務) と技師11名で現在に至り、
検査を実施しています。
当病院は総合病院で13市町村の僻地医療支援の役割を担うための中心でもあり、
天川村、 十津川村等の診療応援に年一回は技師も出向します。
外来一日の患者数は平均514人で、 入院の病床稼働率は82.1%であり、
在院日数は平均23日、 一日の平均検査件数は
(検体検査・生理検査) で245件であります。
検査内容は一般のルーチン検査だけでなく、
人間ドック、 脳ドック、 成人病検診、 職員健診や院内感染関係の検査を実施しています。
次に実際の中検の内容を紹介しましょう。
臨床検査コンピューターシステムは住友電工のACCEL
Win U−CLASを使用しています。 まず
は採血部門で、 検査技師のみで採血しており、
「ハットヒアリ」 や医療過誤がある場合は南二階病棟の医師や看護婦をコールします。
下の写真の中央に映っているのは採血容器の発行のBC
ROBO−550で、 外来の採血管 (受付は原則としてPM3時45分でそれ以後は電話で対応)
を即座に作製し、 入院については前日の予約検査としてPM4時頃までに作製し、
各病棟に配布します。
検体部門は、 C.B.C、 生化学、 感染症
(梅毒、 HBs抗原、 HCV抗体関連) を45分〜50分で臨床側に検査結果を提出しています。
(外来部門を優先) 細菌検査、 生理検査は三名で検査しており、
生理検査部門は心電図、 脳波、 聴力検査 (写真4)
以外に人間ドックを中心とした腹部エコー に現在、
携わっています。
[中央臨床検査部の今後について]
臨床検査部門は全般に非常に厳しい医療部門になっていますが特に医療法で検査室の必置施設に関する規制緩和が設けられ、
検体部門が更に厳しい時代に入っています。
我々のスタッフ11名 は次に掲げることをモットーに日頃の検査に従事しています。
1.アウトカム 2.IT革命 3.ネットワーク 4.専門特化
アウトカムは日本版DRG/PPSを前提に専門特化は例えば定番のカジュアルに専門化した
「ユニクロ」 の販売店のように地域と密着したドックを中心とする臨床検査を取り入れることです。