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海外旅行失敗記

県立三室病院   高 津 明 美

 海外旅行はツアーに参加すれば、 私たち家族のように英語がまったくわからない人間でも行けるようになりました。 我が家の最初の海外旅行は、 トランク一個分にオムツを詰め、 オ−ストラリアへ出かけました。
 ゴールドコーストでは、 渚を歩きたくて、 上の子供 (オムツをしてない方の子) の手を引きながら気分良く散歩していました。 と、 その時返す波の力が思いの外強く、 子供が海に引き込まれそうになり、 必死の形相で子供の手をにぎり、 波と格闘、 やっと救い出すことができました。 おかげで子供は全身、 私は下半身ずぶぬれ、 惨めな思いでの渚となりました。 ホテルでの食事はミールクーポンといって、 それさえ見せれば決まったコ−スメニュ−がでてきて、 チップの心配もいらない快適なものでした。
 しかし、 ミ−ルク−ポンでの失敗もあります。 次の年に出かけたグアムでは、 レストランに入った途端、 早口の英語で話しかけられ、 子供たちに帽子と、 貝で作ったネックレスをくれた (?) のでした。 食事がすみ、 飲み物の代金を支払う時、 プレゼントしてくれたと思っていた帽子とネックレスの代金を請求されました。 いまさらいらないとも言えず、 英語で苦情を言うこともできず、 すごすごと全額を支払って帰ったのでした。 あとで旅行会社にだけは文句の一つも言っておきましたが、 私って日本人の典型なのかなって悲しくなりました。 今でもあの帽子を見ては、 英語の授業をおろそかにしたことを後悔しています。
 グアムから少し離れたところにロタ島がありますが、 この島の砂は珊瑚の砕けたもので、 真っ白で本当にきれいです。 白砂青松ではなく、 白砂椰子の木といったところですが、 ここに小動物をみせてくれる動物園があります。 ここでトイレを借りたのですが、 個人経営の動物園なので、 オ−ナ−の住宅のベッドル−ムの脇にあるバスル−ムの、 そのまた隅っこのトイレに案内されました。 現地の人の実生活をかいま見て、 おちつかないなあーと思っているうち、 水を流さず出て来てしまいました。 ごめんなさい。 この時1歳8ヶ月の娘は時差を完全無視、 日本時間通りの生活で、 昼間はぐっすりおやすみ、 夕方からはお目々ぱっちりで元気になり、 夜中まで遊びにつき合わされました。
 その次の年はハワイ旅行です。 この時は毎回一緒に出かけていた母にボケ症状がでてしまいました。 母は1週間前にバリ島旅行から帰ったばかりで、 今から思うと、 昨年少し騒がれた飛行機のエコノミー症候群だったのではと思います。 ハワイからの帰り、 ファーストクラスに空席があり繰り上げでのせてもらいましたが、 エコノミーとはまったく異なっていました。 食事がとってもよく、 席が広く、 つい調子に乗って子供のオムツをその場で換えてしまった。 飛行機を降りる時、 日本人のパーサーからオムツはトイレで換えて下さいと、 おしかりを受けてしまいました。 子供が大きくなるにつれ、 トランクを占めるオムツの量は減りましたが、 その分カップめんが増えました。
 その次のシンガポールでは、 子供たちが少し大きくなったため、 安心して、 つい独身時代のように買い物に夢中になりすぎ、 クレジットカードをお店に忘れてしまいました。 店員が気づいてバスまで届けてくれ、 難をのがれることができました。
 フロリダのディズニーランドへ出かけた時は、 4日間で4つのテーマパークとユニバーサルスタジオを見るため、 朝早くから夜遅くまで精力的に回りました。 帰りは寝てしまった子供を抱えて、 親も子もくたくた。 TDL (東京) ほど気分が高揚することもなかったのですが、 アニマルキングダムで見たライオンたちはなかなかのものでした。 ユニバーサルスタジオは子供より大人が興奮しましたが、 この原稿が掲載されるころには開園しているかもしれないUSJも楽しみです。
 子供たちも小学校に行くようになり、 また休暇を取りやすい夏休みは主人がぶどう作りに手を取られ、 なかなか旅行に行くチャンスがなくなってきました。 英語もしゃべれないので、 子供たちにダメ親と思われなくていいかな。 でも子供たちに楽しい思い出を作ってやれたらと思います。