手話のできる検査技師を目指して

奈良県健康づくリセンター 田中 利文

 今から4年程前ですが、皆さんは見た事があるでしょうか?「星の金貨」と言う手話のテレビドラマを。そして、この番組を見て手話に興味を持ち手話を始めた人も少なくありませんでした。その頃、そのテレビの影響からか手話に関心を持つ人が多くなり手話ブームと言われる時があったそうですこ私もその頃、漠然と技師の仕事(健診)に何か役立つ事をしたいと思っておりましたところ、ちょうど大臨技で手話講習会があるのを目にし、申し込んだのがきっかけで手話を始めました。
 ところが私は耳の聞こえない人と触れ合う機会がないため手話というものにもなじみがなかったのて単語ひとつ覚えるのも大変でした。そのうえ2時間の勉強中も言葉もなくただ講師のされる手話を見て覚えるだけで初めは大変苦痛でしたが回を重ねる度に少しずつ手話にも慣れ、覚えては忘れの繰り返しではありましたが、徐々に手話も上達し少しくいらいの会話はできるようになりました。
 しかし、このようにして手話を勉強している人たちのほとんどは検査技師であり、身の周りに耳の聞こえない人と触れ合う械会がないため、勉強の時以外手話を使う事がない環境の中で手話を維持していくのは難しいのが現実でほとんどの人が途中て辞めてしまっている様でした。そんな中で私は、仕事でうれしい出来事がありました。それは、耳の聞こえない御夫婦が健診に来られた時のことでした。私は肺機能検査の担当だったので、手話を使ういいチャンスだと思い、付き添いの通訳の方を通さず私が手話で説明したのです。すると、この後夫婦は私が手話ができる事にビックリされた様てすが安心した顔で微笑んでくれたのでした。その顔を見た時、こちらまでうれしくなり、こんなに喜んでもらえるならもっと手話が上手になりたいと思いました。後で知ったことですが、耳の聞こえない方の日常生活にとって病院(医療の場)は一番不安で困る場所と言われているそうです。これは我々医療従事者として考えなければならない重要な間題ではないかと思いますがそのような場所で検査技師をしている訳ですから、100人に一人、いや1000人に一人しか触れ合う機会はないにしても手話を始めた以上、耳の聞こえない人たちが安心して検査を受けて頂けるように手話のできる技師であり続けたいと思いました。更に私にとりましても、健診に来た御夫婦が安心して検査を受け、大変喜んで頂いたことは、手話の効果は想像以上に大きく感動的でさえありましたが、今後手話を学ぶ上で大変励みになりました。以上手話について私の小さな経験を述べさせて頂きましたが、奈臨技においても手話の輪が広がり共に学ぶ機会ができれば良いと思っております。