〔検査研究部門・分野だより〕

【生物化学分析検査部門】

臨床化学検査分野

猪田 猛久

今後目指すもの
 頑張ってくれていた桑山さんから長くやってきたのでマンネリ化などもあり変わって欲しいとのことで臨床化学分野の分野長を引き受けました。
 以前はトピックス、実習、サーベイ等の担当を決めて行なっていましたがサーペイ等の活動は一段落し、実習も遠ざかりトピックス等の勉強会が年数回行なわれているのが現状のように思われます。
 勉強会は最低継続しながら、何がいいのか皆さんの意見、助言を聞いて行なっていきたいと思います。日立勉強会ではさまざまな異常値、トラブル等に対して回答するコーナーがありますが奈臨技でも取り上げ身近な問題を皆で解決するのもいいかもしれません。
 また9/27に行ないました基本的検体の取り扱い事項などもう少し基本的な事についても勉強会を行なうのもいいように思います。
 少し大きい学会、勉強会等は行けない、言えないなどありますがこの奈臨技を身近な問題点を解決する場や基本的な確認の場にするのはいかがでしょうか。こんなことで因っているとかこんなテーマでやってほしいなど、どしどし言って下さい。奈臨技でとりあげましょう。皆さんのメッセージを待っています。

免疫検査分野

 山口 正悟

 今年度より、研究班編成が一新されるにともなって、血清研究班は、免疫検査分野と一部ウイルス検査分野に別れることになりました。
 免疫検査分野では、いままで重点を置いてきて基礎学習で班員の裾野をひろげ、専門知識の学習にもカを入れることで、より良い研究班活動を展開できればと考えています。
 勉強会の参加者が少ないという現状がここ数年続いています。所属施設で免疫検査を実施していないところもあると思いますが一度出席してみては、いかがでしょうか。よろしくお願いします。また勉強会で取り上げてほしいテーマ等遠慮なく連絡ください。

環境物質検査分野

喜多村 昭子

 環境物質検査分野という新分野は人間をとりまく環境のなかにあるさまざまな物質、例えば水質、大気、土壌、食品といったものに含有される成分を分析検査する分野です。第一次予防の分野です。
 科学が発展すればするほど、環境汚染は広がりを見せ、それらの人体への影響を監視していくのが仕事です。
 この検査は病院ではなく、保健所や衛生研究所でおこなわれていますが、今後はこれを取り扱う病院や検査センターも増えてくることが予測されます。この分野に興味を持つ臨床検査技師が増えてくるのを期待しています。
 今我々が注目しているのは、シックハウス症候群の原因物質の一つといわれている室内空気中ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン等の測定で、空気中だけでなく血中、尿中のデータを集めていき関連をみていきたいと考えています。研修会も開催する予定です。ふるってのご参加をお待ちしています。
 ご存知のとおり、わが国は世界に類を見ないスピードで高齢化、少子化が進んでいます。また、平均寿命は男女とも世界第1位という長寿国のトップを走っています。当然のことながら今後更に医療費は増大していき少子化による財源はひっ迫していくのは目に見えていて、国がその対策の一つとして生みだしたのが介護保険制度であり、その二つとして考えられたのが“cureからcareへ”の変換でした。すなわち、第二次予防から第一次予防への変換です。第一次予防の分野で活躍する医師、看護師、保健師、栄養士等が増えています。
 臨床検査技師の活躍の中心は第二次予防ですが、この流れの中で第一次予防の分野へも目を向ける時が来ているのではないでしょうか。臨床検査技師の知識と技術がきっと役立つ分野であると考えています。新分野員を募っています。参集あれ!

薬・毒物検査分野

萬砂 美都子

 毒薬物分析検査分野は今年度より旧公衆衛生研究班の分割分野として新しく構成されています。
 個人的なことですが、はじめての経験であり勉強会の計画内容等についてなかなかまとまりません。
 毒薬物の検査は実際の検査室では聞さ慣れない日常的ではないかも知れませんが、分析検査の中では液体クロマトグラフィやガスクロマトグラフイ、ガスマス(質量定量分析計)を用いての生体内薬物濃度分析や水質検査などは日常業務とし位置づけられています。これらの分析機器をもちいて産業中毒に関連したキシレン、トルエンまたこれら(有機溶媒)の代謝産物である馬尿酸、メチル馬尿酸の生物学的モニタリングの実施を目標にしたいと思っています。それまでには中毒の臨床と予防を勉強し、さらに分析に進みたいと考えています。病院内の検査室に留まらず、特に衛生検査所や環境分析研究所の方々のご協力をお願いできたらと思います。会員の皆様には臨床での中毒の症例や検査室での毒薬物に関した事例や検査技師自身に関わること、また薬品管理での困ったことやエピソードなどを情報提供していただき、これからの勉強会や研修会に繋いでいきたいと考えています。分析検査だけではなく我々自身が働く検査室の環境安全管理のひとつとしても考えていきたい。皆さんのご参加をよろしくお願いします。

遺伝子検査分野

大峠 和彦

 遺伝子検査は病原微生物の核酸を検出する感染症分野や、特定の病因遺伝子の同定・変異を検出する造血器腫瘍および固形腫瘍分野、先天的な酵素欠揖やタンパク質の分子異常を解析する生化学分野など多岐にわたる。ヒトゲノムプロジェクトもほぼ終盤を迎え、今や日常検査として従来の検査に加え、補助診断から診断に直結するものまで重要な位置を占めるようになった。核酸を数十万倍に増幅できるPCR法の開発を機に全国的に多くの施設がさまざまな分野で導入を試み、新設されてまだ3年目の遺伝子検査分野は研修会などにより技術指導を行ってきた。その中でもキット化された感染症分野での取り組みが最も多いのが現状であった。しかし、キット化されていないものでは、各施設の検査方法、条件は施設ごとに異なっており、精度管理の面で問題があることは確かであるが全項目にサーペイは不可能で、日臨技コントロールサーペイも結核菌とHCV−RNAだけ行っているのが現状である。それ以外の項目については各施設における感度や特性を熟知した上で臨床側に理解してもらう必要がある。
 現在、日臨技遺伝子検査、微生物、ウイルス分野では遺伝子検査ガイドブックの出版を目前にしており、核酸抽出方法を含めて主な遺伝子検査は准奨法として掲載され、これから遺伝子検査を導入する予定の検査室や問題を抱えているところでは大いに参考になると思われる。
 従来の勉強会では、さまざまな分野に共通の核酸の抽出方法やPCR法、および染色体分析の基礎的な手法の実習を行ったり、インターネットを用いた遺伝子関連情報の入手の仕方や移植後のキメリズム解析の講義などを企画してきたが、奈良県内では実施している施設がごく限られるため、今後の取り組みを考慮する必要がある。
 今年度からは生化学分析検査部門の中の遺伝子検査分野となり、今までは造血器腫瘍および感染症を中心に行ってきたが、生活習慣病や先天性疾患の遺伝子検査はインフォームドコンセント、遺伝カウンセリングなどハードルの高い問題があり、この分野に関して日常的に遺伝子検査を行っている施設はほとんどない。この様な現状で、実際生化学分析検査部門の中のどのような展開ができるのか見当がつかないのが本音である。当面は今までどうり関連の深い染色体検査、生殖医療検査あるいは血液検査分野との連携で行っていく予定である。
 奈良県遺伝子検査分野としては一通りの実習、講義を行ってきて、次の活動の企画案が乏しい状態です。今後の企画に参画して項ける方は申し出て頂きたい。

天理よろづ相談所病院 臨床病理部
大峠和彦
TEL:0743−63−5611(EX8408)
FAX:0743−62−2335
E−mail:ohgoe@tenriyorozu−hp.or.jp


【生理機能検査部門】

森嶋 良一

 今年度より前研究班長の吉田秀人氏(天理よろづ相談所病院)より生理機能検査部門長を引き継ぐ事となりなした。日臨技におけます部門別検査研究班の組織の改編に伴って、奈臨技においても本年度より新しい組織分類での活動が開始されようとしています。
 今までの12の部門別検査研究班が新しく5部門23分野となりました。生理研究班は新しく生理機能検査部門と名称が変更され、神経検査・機能検査・画像検査の3分野に区別されました。内容については、神経検査は脳波・筋電図・誘発電位など、機能検査は心電図・呼吸機能など、画像検査は超音波・MRI・サーモグラフイーなどが含まれます。生理機能検査部門のこれからの活動としては、現在まで基礎的な内容に焦点を置いて勉強会を開催してまいりました。その結果として実技講習会、症例勉強会と勉強会の回数が増えるとともに、参加して頂ける会員の数も増えていることから、活動として会員のニーズにそった内容の勉強会が行われてきたと考えており今までと同じ方針の活動を今後とも続けて行く考えでいております。各分野長さんとの連携を密にしながら、3分野に分かれていますが、日常生理機能検査を行っておられる会員のほとんどの方は生理機能検査を全般に行っておられると思いますので勉強会の日程が重ならないよう計画しております。
 現在の予定で今年度は生理機能検査部門全体として40回の勉強会を予定しており、その為どうしても土曜日だけでなく平日の夜に勉強会を開催しております。仕事を終えお疲れのところ参加して頂いております皆様の熱意に答えられるよう、内容の充実した勉強会になるよう努力してまいります。
 なお勉強会についてのご質問やご意見などございましたらご遠慮なく申しつけ下さい。最後になりましたが未熟な私ですが部門長として生理機能検査部門のために努力し頑張りたいと思いますので、皆様のご協力とご指導よろしくお願い致します。

神経検査分野

小林 昌弘

 今年度より神経検査分野長を担当させて頂くことになりました。活動の内容は主に脳波・筋電図検査などの初心者向けの勉強会、実技講習を充実させていきたいと考えています。今年度は8回の勉強会が予定されており、そのうちの何回かはすでに行われています。来年度以降もこれらを継続していきたいと考えています。
 この分野の検査は他の分野の検査をしながらではなかなか習得するのに時間がかかり、また施設に教えてくれる人があまりいないのが現状ではないかと思います。初心者の方、またこの分野の知識を深めていきたいと思われている方、ぜひ積極的に勉強会に参加して頂き、質問や要望などを言っていただければ幸いに思います。
 最後になりましたが、部門長や他の分野長、分野委員のみなさんと協力しながらがんばっていきたいと思います。よろしくお願いします。

機能検査分野

森嶋 良一

 今年度より生理研究班は3つの分野に区別され、その1つの機能検査分野を私が担当させて頂くことになりました。機能検査分野は主に心電図と呼吸機能などの検査が含まれます。これまで生理研究班では毎年実技講習会としてきれいにとれるシリーズの“心電図編”と“スパイロ編”を、講義では心電図初級講座を行ってまいりました。
 心電図につきましては初級講座を長年にわたり行ってきましたので全体として徐々にレベルも向上しつつあり、また参加者からの要望も加わって、今年度より初級講座に加えて中級講座として“ホルター心電図のすべで”と題し、不整脈の解析を中心とした勉強会を12月より月に一度の4回シリーズで行う予定です。また、呼吸機能についてはこれまで実技を中心とした勉強会のみでしたが、今年度よりそれに加えて呼吸機能定期勉強会として“スパイロの基礎”という内容で3回シリーズの講義を行い、ほとんどの施設で実施されているスパイロ検査の原理やデータの読み方等を中心とした勉強会を行っています。
 機能検査分野として今年度は、前年度まで行ってきました勉強会に加えて新しく始まった勉強会を含めて計15回の勉強会を予定しております。
 奈臨技における機能検査分野の目指すものは、現在まで生理研究班として活動の中心としてきました“基礎レベルの向上”です。High LeVel なむずかしい内容の勉強会をおこなうつもりはありません。多数の方に参加して頂いて積極的なご意見を期待しております。また、活動内容についてのご要望などございましたらご連絡下さい。出来る限り取り入れさせて頂いて充実した勉強会になりますよう努力して行きたいと思っております。
 最後になりましたが、未熟な私ですが分野長として出来る限り頑張りますので皆様のご協力よろしくお願い致します。

画像検査分野

松下 陽子

 画像検査分野は、本年度から新たに始まったMR勉強会を4、7、9月に各1回ときれいにとれるシリーズの頚部動脈編を7月に実施しました。
 昨年度から開始された、隔月に1回の腹部・心臓超音波勉強会も引き続き実施しています。また、恒例となりました実技講習会も年末から年明けにかけて予定しておりますので、どうぞご参加ください。
 技師会の活動単位の再編成に伴い、今春から画像検査分野を担当させていただいております。すでに半年が過ぎましたが、昨年までの研究班活動から引き継いだ多くの勉強会を進めるのに精一杯というのが正直なところです。今まで個々の勉強会に参加することはあっても、活動がどんなふうに進められているのかよく知らないままでした。
 わからないながらも活動にたずさわる中で、今まではお会いする機会もあまりなかった他施設の方とも接することが多くなってきました。特に隔月に1回の超音波勉強会は、参加される会員の方同士も顔馴染みの方が多くなったのではないかと思います。頻繁に顔を合わせることで、その日の勉強会の内容だけでなく、日頃の疑問を口にすることができるような環境になれば良いのではないかと感じています。そして日頃の検査や次の活動につながるようになれば良いと思います。どれだけ役割を果たせるのかどうか不安ですが、これまでに蓄積されてきたものを無駄にすることのないように活動できるよう心がけますので、どうぞよろしくお願いいたします。

形態検査部門 

原嶋 一幸

 形態検査部門は細胞検査分野、病理検査分野、一般検査分野、血液検査分野、染色体検査分野、生殖医療検査分野の6分野から構成されています。
 形態検査といっても非常に多岐に渡っており私の理解できる範囲を遥かに越えていますので実際の研究班活動は各分野長(研究班長)、分野員の方に委ねる事になります。
 研究班は“話を聞きに行く”だけでなく多くの方が意見を出し、討議できる研究班活動にしていきたいと考えています。また分野合同の研究班や部門を越えた研究班もあっても良いと思っています。
 総論ばかりで各論は何も持っていませんが何分、初めての編成でどのように進めるのがいいのかまだ戸惑っているのが現状です。各会員の協力(参加と意見を出す事)の元に研究班活動が成されるのは実状です。御協力お願い致します。

細胞検査分野

西浦 宏和

 今年度より細胞検査分野長を務めさせて頂くことになりました。この様な事は不慣れで会員の方々には色々とご迷惑をおかけする事が多いと思いますが、ご協力よろしくお願いいたします。また、不備や不明な点がありましたら申しつけください。
 現在、細胞診業務は、病理、細胞学的な知識だけでなく、免疫学や血液学また、分子生物学的な分野も含めた総合的な知識が必要となっています。
 そこで、これら必要な知識を基本的なことから勉強出来る様に、細胞・病理検査分野だけでなく、その他の分とも合同勉強会を行いたいと考えています。それと、会員の皆さんが気楽に参加出来る様な研究班活動を目指して今後の活動を行っていきたいと考えています。

病理検査分野

 西川  武

 本年度より研究班活動が新体制で行われることになりました。この新体制では病理検査分野は形態検査部門の一分野としてその役割を担うことなりました。従って、本分野は“病理検査”という閉塞的な一検査部門ではなく、“形態検査部門の一分野としての病理分野”として活動を行っていくことが大事ではないかと考えております。また、これは個人的な話ですが、私は現在、細菌検査、一般検査、血液検査、化学、免疫検査、等々いろいろな分野に興味を持っています。なぜなら、私が日頃検査しているうえで臨床検査業務の共通性、重要性を感じることがよくあるからです。これは、私以上に、臨床検査技師としてルーチン業務を担っている皆さまも認識されているのではないでしょうか。一分野委員の個人的な考えではありますが、“形態検査部門の一分野としての病理分野”を基本としながら、“形態学の枠をこえて病理検査分野の内容”を模索しながら活動を行いたいと考えております。

一般検査分野・寄生虫検査分野

吉田 恵三子

 一般検査分野は形態分野と臨床化学検査分野に属する。尿定性検査は化学の分野になり定性も概数表示が提唱され、より細かく表示される。また反射率にて、数値化され、定性データが管理することができる。定性が進化しているのだ。またそれだけ精度や正確さが求められてきていることでもある。
 最近、診療録について勉強する機会があって感じたことだが一つの検査データが世間に出るとき、たとえば医事訴訟、とかカルテ開示など、その値の根拠になるものを示していかなければならない。それは、その検査の基礎検討データであったり、日々の精度管理データであったりする。検査をし、報告するだけでなく管理し検査情報を開示していく時代に突入していることを実感した。
 形態検査も同様である。自己満足の判断でなく根拠に基づいた判断、沈渣でゆうと(JCCLS GP1−P3)に従って検査を行うなど、標準化することにより、どこで沈渣を鏡検しても、だれがしても、同じ基準で細胞が判断できるのである。それと同時に鏡検の力をつける事だと思う。いろいろな症例に遭遇し、目を肥やし、勉強していくことがてっとり早い、自分の検査室で症例が少ない時は研究班などへ出かけて力をつけていただきたいと思います。
 また貴重な症例に遭遇した時はぜひ研究班へ持ち寄り技師会の皆さんに紹介していただきたいと思います。そのために一般検査・寄生虫分野の研究班を利用していただきたいと思います。珍しい症例、新しい検査法などがありましたら吉田まで一報ください。研究班でとりあげたいと思いますので御協力お願いいたします。

血液検査分野

原嶋 一幸

 今年の研究班活動は難しいことやトピックスをするのではなく身近なことからすることを念頭にして企画しました。中でも症例検討会は標本と検査データから診断とそれに至るプロセスを考察する検討会で日頃のルーチン業務にできるだけ則した形、臨場感のあるものにしたいと考え企画しました。話を開くだけの研究班でなく色々な意見を交換しあえればと思っています。そして、今年はできるだけ多くの施設の方に講師の依頼をして行きたいと思っております。その節には御快諾頂けますようお願いします。
 凝固検査は正確に言えば血液検査部門から外れていますが凝固はhematologyの一部であると考えていますので今までと同様、研究班活動に盛り込んで行きたいと考えて下ります。
 研究班活動は各会員の方の知恵とカを得ながらでないと進めて行けませんので御協力お願い致します。

染色体検査分野・生殖医療検査分野

福塚 勝弘

 今年度から、遺伝子・染色体検査部門は遺伝子と染色体に各々分かれ活動することになりました。
 まず、染色体部門に関しましては、奈良県内で染色体検査を実施しているところは、私の知る限りでは天理よろづ相談所医学研究所のみであり、ほとんどの施設は外注検査に出されています。そのため、実際検査を実施していない会員の皆様がどのようなことをやってほしいか意見をお開きしたいと考えています。絶対実施しようと考えているのは、染色体・遺伝子・血液部門における合同研修会で、1回目は9/28に“CMLのすべて”というテーマで血液形態、染色体・FISH、遺伝子、診断と治療について各専門の方にお話していただきました。特に診断と治療については天理よろづ相談所病院 血液内科の林Dr.に私達が普段聞けない貴重なお話を聞けて良かったと思われます。今後も年に1-2回位実施する予定です。
 また、生殖医療に関しては新たにできた分野であり、各々これからどのように活動してゆけばよいか難しいところです。下記に染色体、生殖医療について書いてみましたので御意見ありましたら、お聞かせ下さい。

1.染色体検査で実施してほしい項目を選んで下
  さい。(複数解答可)
(講 議)
  ア.染色体検査の基礎
  イ.染色体検査の流れ
  ウ.染色体検査の意義(造血器腫瘍)
  エ.染色体検査の意義(先天性疾患)
  オ.FISH法について
  カ.FISH法の意義
  キ.遺伝子あるいは血液との合同研究班
  ク.外注に出した染色体検査結果の解釈のわからない症例や珍しい症例を持ち寄り論議する。
  ケ.その他(            )
(実 習)
  ア.染色体核板の切り貼り
  イ.G分染法
  ウ.その他(
2.生殖医療についてしてほしい内容、講師等あ
  りましたらお書き下さい。

下記のメールアドレスまで御意見下さい。
 fuku−5ken@tenriyorozu−hp.or.jp


【感染・疫学検査部門】

微生物検査分野・疫学検査分野

中山 章文

 今年度より日臨技研究班の再編成に伴い奈良県技師会においても研究班の再編成が行われ、これまで微生物検査研究班において行われてきた活動内容は、再編成によって微生物検査分野と一部分が疫学検査分野に細分されました。今後の微生物検査分野および疫学検査分野活動の方向性について提案させて頂きます。

1.微生物検査分野活動の方向性について

 微生物検査分野については5月勉強会において提案させていただいた様に、定例勉強会のテーマを種々の環境や立場で日常の検査業務に従事されている会員の皆様から提案して頂き、世話人4名と協力いただける会員によって勉強会および研修会等の準備・運営を行っていきたいと考えています。また、勉強会での会員相互の討論を充実することによって日常の検査業務や微生物検査室の運営についての実際的な内容の意見交換の場にしたいと考えています。

2.疫学検査分野活動の方向性について

 疫学検査分野については、疫学検査の内容だけで勉強会等を企画することが現状では困難と考えられますので、今年度は病原体の検出状況や院内感染における疫学等について微生物検査分野と合同で行う予定です。

 以上、今年度の検査分野活動について提案させて頂きましたが、検査領域には、何かと大変な情勢ですので役に立つ勉強会にしたいと思いますので、会員各位のご意見をお聞かせ下さい。

ウイルス検査分野

山口 正悟

 今年度より、研究班編成が一新されるにともなって、新しくウイルス検査分野が増えました。旧血清研究班と旧微生物研究班の一部が「ウイルス」という枠で一つになったものという考えかたです。
 今年度は最初の年ということで、従来の研究班で取り上げていたような内容で出発しようと考えています。どなたでも大歓迎ですので勉強会の参加のほうよろしくお願いします。また話題の提供いただける方も遠慮なくご一報ください。

輸血・移植検査分野

吉村 豊

 平成14年度からは、研究班から検査分野に分かれてスタートしました。新体制は23分野にもなりどのようにスタートしてよいのか悩まれている分野も多いと思います。輸血に関していえば従来とあまり変わらない体制なのでホッとしている部分もあります。ただ、それでも問題がないわけでもありません。
 輸血研究班が従来実施してきた勉強会の内容やサーベイについても行き詰まっている状態でもあり、今年度から来年度にかけて見直しをする必要もあり、今後、会員の皆さんの声を参考にし考えていきたいと思います。
 新しい試みとして昨年度から近臨技と連携し、天理よろづ病院の森本氏が中心となり進めてきた初級輸血マニュアルが完成しました。近畿各府県がこれをもとに初級輸血実技講座を毎年開催します。今年1月には奈良県でも2日間で実施し予想を越える会員の皆さんに参加して頂きました。また、各府県が実施する初級講座から近臨技主催の中・上級輸血実技講座へとステップしていけば効果的に実力もつき認定技師を目指す方も取り組み易いと考えます。
 また、勉強会の内容としては輸血の基礎を中心にシリーズで行い、輸血検査の話題などもおりまぜて実施していく予定です。勉強会の場で各施設の問題点等を提起して頂き皆で考え解決の糸口になればと考えます。
 新体制になり分野活動を進めていく上での問題として、限られた活動費でどのように運営していくか悩むところです。実技講習を実施するとなると試薬代、試験管等の諸費などがかかります。昨年度までは業者の協力のもとに行えましたが、今年度からはそうもいかず、他府県の状況も参考にしながら考えていきたいと思います。
 最後に、分野活動に御協力をして頂いた各病院の世話人の方々に御礼申し上げます。これからも宜しくお願い致します。また、会員の皆様の御意見を参考に活動していきますので御協力の程、宜しくお願い致します。


【検査総合管理部門】

猪木 正允

 H14年度から日臨技が12部門別検査研究班を5部門23分野に再編する事を決定した。全国のブロック単位技師会と地臨技においてもこの方向性で一致して行動する事となり、奈臨技においてもH14年度から研究班活動を5部門23分野に再編して活動して行く事になった。そこで新たに5部門の中に今までの研究班活動や臨床検査技師にはあまりタッチしてこなかった検査総合管理部門が創設された。これは医療を取り巻く環境が大変厳しくなったこと、技師自身がアカデミックな部分だけではなく、全てのマネージメントが必要不可欠になってきたことが大きな要因と考えられる。
 これからの臨床検査技師はテクニシャンだけではなく、アドミニストレーターでなければならないと言う事が重要であると、世論においても職場内においても求められている事が大きな原因であろう。
 当技師会担当者として、このような部門のこれからの企画構築を、どのようにしていけばいいのかまだ模索している段階であるが、とりあえず今年度は検査精度管理分野と検査機器管理分野は合同で、検査情報管理分野は今までどうり情報研究班の継続で活動していきたい。そして検査管理分野については我々にとってあまり得意な分野ではないため、講師を立てて講演会または研修会方式で企画実行していき、将来を担う指導的立場の人を育てていきたいと考えている。ぜひ、全会員の結束と協力をお願いしたい。

検査管理運営分野

三谷 典映

 医療情勢の変化の波は、臨床検査の分野にも多大な影響を与え、検査室の今後のあり方にも問題を投げかけている。診療報酬引き下げ、包括化問題、危機管理、臨床検査の標準化、検査情報の提供、患者サービス、業務拡大、臨床支援、等々。これからの検査室運営を考えた時、いかに臨床ニーズに対応し、効率よく運営することが重要と考えます。
 病院の規模や特性、あるいは検査センターなど、検査室のそれぞれに役割の違いがあり、方法論も変わってくると思います。いろいろな立場の方の経験や意見を聞きながら、時代に取り残されない検査室のこれからの方向性について、考えて行きたいと思います。
 何分、新しい分野ですので、日臨技・近臨技の動向を見ながら、皆さんの御意見を伺いながら、進めていきたいと思います。よろしくご指導お願いいたします。
 尚、ご意見・ご要望はこちらまで・・・
 e−mail nori-mitani@naraamt.or.jp

検査機器管理分野

森分 和也

 今年から新設された分野なので、何をしていいのかわかりませんが、日臨技や近臨技の様子を見ながら、活動を決めたいと思います。
 また、検査総合管理部門の中にある分野なので、他の検査管理運営分野・検査精度管理分野・検査情報管理分野ともよく相談をして、活動内容を決めて行きたいと思います。皆様のご協力よろしくお願いいたします。

検査情報管理分野

松田  誠

 研究班の構成がかわりましたね。高機能施設はともかく、末端の施設で活動している臨床検査技師にとって適切なジャンル決定なのかは、意見の分かれるところでしょう。また、その区分もグレーゾーンを多く含んでいるようです。さりとて旧来の研究班では、たとえば遺伝子技術が各研究班共通の技術であることからジョイントで講演を企画したりと言う事実などからも、時代に追随していないのは、明らかです。方向を指し示されて、それを会員全員で創造していくという捉えかたが、現段階では必要な作業という認識をしています。
 その見地から、従来の情報システム研究班のころより感じてことを踏まえて、新分野としての方向を考えてみたいと思います。
 検査情報の頭に“臨床”をつけると“臨床検査情報”ということで、すべての検査室での作業がこの“臨床検査情報”を報告することですから、検査情報管理部門とは必然的に検査室そのものの管理というような話になります。カルテ上ではラボデータというくくりになります。検査情報管理とはこのようなラボデータとして表記される部分
(数字・画像など)が氷山の一角だとするなら、水面下の氷山のあらゆる面をすべて管理することという大きな話です。
 他部門からみるとブラックボックスである検査室(データ氷山の水面下)から、発生する臨床検査情報を管理するということは、検査室の組織としての運営管理、純粋に技術的管理(もちろんこの部分が検査室の生命線です)、情報をつたえる道すがらであるコンピュターシステムの構築・管理、関連部門との連絡調整、部門として施設の中で機能し認知され続けるため収益性の追求管理(在庫管理、独立会計、原価計算)、などがすぐに思い浮かぶ事項です。
 また、これからの医療に要求される医療の安全性を保障する基本的インフラとしての検査室管理(院内感染症委員会)、複合的にウイングをひろげた医療(保健予防・医療・介護・福祉)の中で臨床検査の優位点を生かした関わり方(たとえば臨床工学部門への出向や在宅介護医療材料部門、診療録管理など)についても管理が必要です。もちろん教育研修部門の管理もあります。
 とても話が広くて、それにこれらは、検査室の管理運営を担当する人たちに任せておけばいいのでは?と思われる向きもあるかと思います。そうでしょうか?いま不況にあえぐすべての企業で個々の職員が多機能であることや会社の予算に直接関係ない職種でも予算論議ができるまたすべきことが当たり前のこととなってきています。医療界でも国や保険者という環境が厳しさに傾いているのなら、当然他の産業と同じ発想が必要でしょう。
 従来の情報システム研究班のころより感じてきたことは、情報管理部門として、以上述べてきたことがすべて当てはまるということでした。今までは情報をつたえる道すがらであるコンピュターシステムの構築・管理という面でインターネット、検査情報の加工編集ということで、コンピュータプログラムなどを中心にやってきましたが、それだけでは片手落ちのような気がしていました。
 検査情報管理とはこのようなラボデータとして表記される部分(数字・画像など)が氷山の一角だとするなら、水面下の氷山のあらゆる面をすべて管理することと述べましたが、この見地に立ち、今もっとも熱い話題、継続して研究すべき話題とを織り交ぜながら“検査情報管理”の研究班活動が望ましいと考えます。
 では今もっとも熱い話題、継続して研究すべき話題とは?独善と偏見と自分の出来る範囲に基づけば、熱い話題として電子カルテ、継続して研究すべき話題として医療の安全性の問題を挙げます。
 どちらも、検査室独自の努力と、他部門との連携の上に開かれ、認知され続ける検査室を構築する上で重要な話題だと思います。
 本年度は、全国の研究班再編成という画期的方針をうけ手探りながら、過去の経験と現在の状況を踏まえ、上記の事項について活動してまいりたいと考えます。