検査研究部門・分野だより

各種検査研究部門・分野だより

生物化学分析検査部門

猪田 猛久

昨年も分野をまたがったテーマに分野長さんと連絡を取り合い、企画を考えたいとの旨を書きましたがほとんど出来ませんでした。もう少し日頃から生物化学部門の視点に立った考えも取り込んでいかなければならないと反省しております。来年は何かを企画したいと思います。


臨床化学検査分野

猪田 猛久

毎年「基本的な事柄」をテーマに取り組んでいます。とはいえ今年はPOCTのテーマで2題、メタボリック健診と少し最近を意識した事柄も取り入れました。「基本的な事柄」という基本方針は持ちつつ最近を意識した事柄との路線は継続と考えています。昨年から年間スケジュールを出せないかと学術部検査研究部門から聞かれましたが、最近を意識した事柄を考えると難しい面もあると思います。しかしもっと早く勉強会の内容を吟味して年間スケジュールを出せるようにしたいとは思っています。「基本的な事柄」は継続ですが皆さんの要望も待っています。宜しくお願いします。


免疫検査分野

藪内博史

本年度の免疫検査分野の活動は、4月に「甲状腺疾患の診断」、6月に「血清中KL-6の臨床的意義」について、それぞれ研修会を開催しました。

 研修会開催の案内が不十分なのか、他の研修会と重なってしまったり、内容が会員の多くの方の興味を引かないのか、参加人数はあまり多くありません。

 メーカー主催の勉強会も数多く開催され、利用されている方も多いと聞いています。そこで本研修会は、メーカーの学術には質問しにくい素朴な疑問や、日々の検査の中で困っている事などを、気軽に相談し合えたり、意見交換できたり、ざっくばらんに肩肘張らず話し合える場として大いに活用して頂ければと思います。そして研修会の内容や、開催場所、時間など、「これなら参加してみよう。」と思える要望、意見、提案など、どのような事でも結構です。お聞かせ下さい。

 それから、臨床検査データ共有化事業も進められて来ています。免疫検査分野としては、CRP、参考項目としてIgG、IgM、IgAが対象となっています。臨床化学検査の項目の一部として測定されている施設も多いかと思われますが、奈臨技サーベイ検討会開催の折には、多数ご参加ください


遺伝子検査分野

大峠 和彦

 最近の遺伝子のお話です。理化学研究所は、プラナリアを用いて、全能性幹細胞(万能細胞)が頭部以外で脳の神経細胞に分化しないように制御している遺伝子を発見したと言うことです。 この研究では、研究グループのメンバーである国立遺伝学研究所の遺伝情報分析研究室の中澤真澄博士らが単離した。プラナリアの頭部に特異的に発現する遺伝子(ndk遺伝子)に注目し、解析を行ったところ、ndk遺伝子が未知の脳の誘導因子を捕まえては万能細胞に提供していることが分かり、万能細胞を脳の神経細胞に積極的に導く新しい遺伝子であることが判明しました。すなわち、ndk遺伝子の産物は、頭部の万能細胞に脳の神経細胞になることを促進するとともに、脳の誘導因子が頭部以外の部分には拡散しないようにする一人二役の働きを持っており、プラナリアは、頭部に必ず脳を再生するよう制御していることを世界で初めて明らかになったのです。さらに、プラナリアndk遺伝子は、カエルの初期胚においても似たような働きをすることが証明されました。
 これらの成果は、全能性幹細胞を用いた再生医療の重要な基礎研究成果であり、今後の研究の展開次第によっては、ヒトの万能細胞から脳の神経細胞を作り出せる可能性を秘めており、再生科学に多大な貢献をもたらすものと期待されます。
このように遺伝子の解析は日進月歩です。我々が行っています遺伝子検査も今やリアルタイムPCRが日常検査に導入され、感度、特異性をはじめ検査スピード格段に短縮され、核酸抽出から増幅・検出が1時間程度で行われるようになって来ました。昨年度はリアルタイムPCRの上手な使い方と題して勉強会を行いました。今年度もこう言う遺伝子検査を行っていると言うような話題が有りましたら是非とも勉強会での講演して頂いて、他施設の遺伝子検査へ参考になるようにお願いしたいと思います。

 遺伝子検査分野だけではなかなか研究班活動できないため、染色体検査分野と共に県内外と合同で活動を行っています。遺伝子検査の実務に就いていない会員が多い現状では研究班活動の企画への参画は難しいかもしれませんが、興味ある方、企画に参画していただける方は是非申し出てください。

                                             連絡先

                                                        TEL:0743-63-5611(内線7441)

                                                        FAX:0743-69-6297

                                                        E-mail:ohgoe@tenriyorozu-hp.or.jp


生理機能検査部門

原田 譲

生理検査部門は、平成19年度におきましても例年のごとく、各分野にて活発な勉強会や技術講習会等を企画しております。年度後半にも多様な勉強会がありますので、ふるってご参加ください。勉強会の日時・場所は急な変更などもありますので、奈臨技ニュースや奈臨技のホームページなどにてご確認ください。来年度の企画会議は例年通り年末か年始に行いますので、何かご意見・ご提案などありましたら各分野長までご連絡ください。


神経検査分野

小林 昌弘

神経検査分野は、本年度は6回の勉強会を予定しています。筋電図などの検査の実技習得を目的とした「きれいにとれるシリーズ」が2回、初心者向けの脳波判読を目的とした「脳波の手習い」が2回、各疾患や脳波の異常波形について勉強する「定期勉強会」が2回という内容で取り組んでいます。

5月 25日(金)「脳波の手習い1」

6月 16日(土)「きれいにとれるシリーズ平衡機能検査編」

7月 13日(金)「脳神経定期勉強会1」

11月  9日(金)「脳波の手習い2」

1月 18日(金)「脳神経定期勉強会2」

2月 23日(土)「きれいにとれるシリーズ筋電図編」

また奈臨技HPに過去の勉強会で用いた資料を掲載しています。ぜひご覧下さい。

勉強会の内容に関する要望や、日常の検査における疑問点などを気軽に話し合えるような勉強会を進めていきたいと思いますのでよろしくお願いします。


機能検査分野

吉田 和弘

機能検査分野では、心電図・スパイロ・PSGの勉強会を実施していますが、講義や実習の勉強会を通して全体のレベルをあげるように努めています。前年度に行われた奈良県技師会のアンケートを見ると、概して良い評価はされているとは思ってはおりますが、まだまだこれに慢心することなくさらに会員のレベルアップを図っていきたく思っております。

 今年度より心電図の講師に3名の新しい方を迎える事が出来ました。最近の傾向をみると学会発表での内容は検査技術だけでなく、それに関わる技師の院内チーム活動や業務システム委員会などの過去にはない発表が見られます。とりもなおさず技師が検査室から外へと出た事で技師の活動範囲が拡大した要因が大きいでしょうが、それに反して発表の数自体は減少傾向にあるようです。そんな中で、新たに講師を引き受けてもらえる人がいることは有り難い事でもあり、潜在的に意欲を持った人がいる事はなかなか捨てたものではないと感謝する次第です。また、勉強会は、毎月1回はありますので更に講師を引き受けてもらえる方がおられれば歓迎します。人前で話すことはいつになっても緊張はしますが、講師の方を見ていると年々回数を重ねていくにつれて余裕が出て、実力を発揮しながら進歩しているのが良く分かります。また、こうした経験が小さな集まりの学会発表であっても次へのきっかけになればと期待もしています。

 心電図・PSG・スパイロ検査の勉強会はあわせて前年度は年間20回になりますが、開催場所についてはおおよそは奈良医大と天理市立の二ヵ所(詳細にはもう一ヶ所あります)で実施しています。もっと県内に隈なく分散して開催して欲しいと言った声も重々承知はしていますが、定期に開催する勉強会であり回数が多いのとその都度の準備の都合があったり、また、各講師やアドバイザーの移動の都合もありご理解をお願いしたいと思います。

 今年度の機能検査分野の勉強会には、特徴が二つあります。一つは、呼吸器定期勉強会のPSG勉強会を前年度の倍の回数である6回/年に増やし、講師としてPSG専門医を招いた講演会を含め、これからPSG検査をする方にも、既にPSG検査に従事している方にも十分に理解できるように、よりきめ細かい内容に改めました。もう一つは心電図定期勉強会で、今までの心電図中心の勉強会に加えて、心電図からさらに一歩進めて、天理よろづ相談所病院から臨床工学技士を招き不整脈の機序を調べる電気生理学的検査(EPS)や心臓カテーテル検査についての勉強会を開催します。

 来年度の計画は今年度とほぼ同様の予定をしていますが、年間の枠に実習や医師による講演会も織り交ぜて中身のある枠組みを作っていければと考えております。

 心電図・スパイロ・PSGと勉強会を重ねておりますが、内容は「基礎レベルの向上」を中心にしていますが、最終的に心電図解析の概念を身につけることです。ただ、どの勉強会でも特段に難しいことをするつもりはありませんし、初心者が理解できるように、日常検査時に遭遇しても困らないように、勉強会で出た同様な症例があれば自ら解析できるようになればと思っています。また、疑問点などがあれば気軽に質問をして解決して頂き、会員同士の情報交換ができ、実際の業務に役立てることが出来るように努めていきたいと考えております。


画像検査分野

松下 陽子

 画像検査分野では 昨年度と同様に,隔月各1回の心臓・腹部超音波定期勉強会をはじめ,計18回の勉強会を計画しています。本年度のきれいにとれるシリーズは神経検査分野と合同で行い、頚部動脈超音波とPWV検査をとりあげました。また、超音波の実技講習会は昨年にひきつづき下肢血管をテーマに開催し、多数のご参加をいただきました。心臓の定期勉強会では症例を持参してくださる方も多くなりました。貴重な情報を共有できる場として活用していただきたいと思います.

 年間を通して定期的に勉強会を開催することで、多くの方にご参加いただいていますが、昨年のアンケートによると平日の夕方の開催のため参加するのが難しいというご意見も少なくないようです。そこで本年度は実施した勉強会の内容の一部をホームページに掲載できるように準備を進めております。この会報がお手元に届く頃にはご覧いただけるようになっているかと思います。ホームページの内容だけではわかりづらい点もあるかもしれませんが、ご質問、ご意見等がございましたらメールや勉強会でご連絡下さい。可能な範囲で対応させていただきます。今後もどうぞよろしくお願いします。


形態検査部門

染色体検査分野,生殖医療分野

福塚 勝弘

 形態検査分野としては、昨年度から、染色体分野が全国的に生化学部門の遺伝子・染色体分野に戻ったため、先日頂いた名簿においても近畿で単独ではなく、遺伝子のみあるいは、遺伝子.染色体とされている一部の府県もあった。造血器腫瘍関係においては新WHO分類がFAB分類とともに併用して用いられるようになっており、その診断には染色体・遺伝子検査が大きな役割を果たすものになっている。そのため、末梢血液,骨髄液,リンパ節等の検体を扱う検査においては、血液検査,染色体・遺伝子検査,病理・細胞診検査は密接な関係があり、共通する話題に関して合同で研修会を実施出来れば良いと考えている。

染色体検査分野としては、例年通り遺伝子検査分野と合同で実施する予定です。

今年度は染色体関係では胃へのピロリ菌感染が関係ある胃MALTリンパ腫について実施したいと考えている。日程は未定であるが、染色体検査のみならず、実際の臨床の先生にお願いして診断,臨床像,治療,また、病理組織像についてお話していただく予定である。遺伝子関係に関して昨年度は造血器腫瘍等の遺伝子定量について行ったが、私にとっては大変勉強になったが、参加人数は十人余りで他施設からの参加が無く、県内で実施している施設が無いのかもしれない。

生殖医療分野としては、例年通り大阪府と合同で実施する予定です。

不妊治療技術、特に生殖補助医療の進歩は目覚しく、日本だけでも体外受精で生まれた子供の数は11万人を超え(2003年)、今では誕生した赤ちゃん65人に1人は体外受精によって妊娠して生まれた赤ちゃんで、全出生数に占める割合は1.5%となったようである。このように体外受精胚移植法は現在、不妊治療としてすでに定着している治療法です。エンブリオジスト(胚培養士)は,臨床検査技師が活躍することのできるすばらしい仕事である。私自身エンブリオジストではなく、業務に関係していないので、実際業務をされている方、実際業務をされている方を知っている方、あるいは精液検査等何らかの形で不妊治療に関係する仕事をされている方、申し訳ありませんがご連絡をいただけるとありがたいです。

また、遺伝子・染色体関係、生殖医療関係で何かご要望があれば連絡お願いします。


細胞検査分野

辻野 秀夫

今年度の細胞検査分野の活動は、前年と同様に病理検査分野と合同で開催する予定です。7月に腎生検材料の超薄切法というテーマで講義と実習を行いました。後2〜3回は何かテーマを見つけて開催したいと考えてます。前年度に初めての試みとして、京都府技師会との合同勉強会(細胞検査技師会との共催)を開催いたしました。第二回の今年度は京都で開催の予定です。多くの会員の皆様のご参加を期待しています。奈臨技コントロールサーベイの検討会も今年中に実施の予定です。今年初めてスライドサーベイの写真をウェブ上に提示しました。その事についての皆様の意見も是非ともお聞かせ下さい。本年度もよろしくお願いします。


病理検査分野

小野 喜雄

本年度の活動予定ですが、7月に「腎1?切片薄切の実際」というテーマで一回目の研修会を、実習をかねて実施しました。しかし、腎生検材料を実際に超薄切している技師は少なく、そのため参加者が数名となりテーマとしては如何なものだったか反省しています。病理検査は技術の習得が中心となることが多く、できれば実習を加味した研修会を今後もおこなっていければと考えています。

 今後の予定は、とりあえずコントロールサーベイの検討会、講演会等を計画しています。

 最近の病理検査は、迅速固定包埋装置を用い標本作製から診断まで同日中に提供できるシステムの構築、遺伝子技術を用いた分子病理学への取り組み、HER2検査の乳癌治療法の選択応用、病理検査士(PA)導入の是非、適正な廃棄物処理など、今後取り組んでいかなければならない問題が山積しています。

 今後の研修会もできるだけみなさんに興味をもっていただける企画をと考えていますので、ご意見、ご希望をお寄せいただきますよう、宜しくお願い致します。 


血液検査分野

梅木 弥生

認定血液検査技師精度が導入され、20032月に第1回の認定試験が行われました。現在までに全国で414名の方が合格しています。その中で、お陰をもちまして奈良県は検査技師数から見て、血液認定者率がトップクラスに位置していますが、トップではありません。血液認定者率トップを目指して努力したいと思っております。しかし、血液認定は認定期間5年で、そのつど試験合格で更新されます。このことは、高度の学識と技術の維持に、努力しなければいけないということになります。したがって血液検査分野での活動も他部門にわたり幅広く行う必要があります。病理学検査はもちろん、生化学検査、細菌学検査、生理学検査など豊富に取り入れた総合データ判読技術の指導を各方面からの先生方に講師をお願いしております。天理よろづ相談所病院 松尾収二先生にご指導をお願いしております。血液検査分野活動の年間計画が出来ないか?と考えております。そのためのスタッフを募らせていただきます。今後の血液検査分野の活動にご協力よろしくお願いいたします。


感染制御検査部門

小泉 章

昨年度、一つのテーマとして取り上げていた微生物検査分野と寄生虫検査分野の検査体制のあり方について共同開催の研究班を行うと言う目標が未達成のままですので、今年度こそは、本テーマを最後に着手したいと考えております。昨年度も述べさせて頂いた様に、微生物検査と寄生虫検査は、検査の重要性は認識されつつありますが認知度、理解度いう点では医師により偏りがある様に思われ、中でも寄生虫検査においては、微生物検査と一般検査の狭間で検査体制が不明瞭になり、臨床医が混乱する事もある様です。例として虫卵検査は一般検査、クリプトスポリジウムや一部の原虫類は微生物検査室、アメーバやトリコモナスなどは双方で検査しているケースが見られる点などが挙げられます。

今日、本邦は、上水道、屎尿処理を含む下水の完備などの環境整備が各市町村で推進されて来た結果、寄生虫感染症は大きく減少してきています。しかしその反面、海外渡航者が急増に伴う渡航感染者の増加や易感染患者に対する寄生虫感染症も注目されて来ています。この様な中で、臨床医が寄生虫感染症を疑い積極的な情報提供があった場合は、問題は起こり難いと思われますが、臨床医と技師間で情報の連携がうまくいっていないと、診断に時間を要する危険性は無いでしょうか? この問題は、病院の規模や検査体制、原虫感染症に対する技師や臨床医の意識レベルにも左右されましょうが、一度、各御施設の寄生虫検査を含めた感染症検査体制の現状をアンケートなどで検証した上で、研究班のテーマに取り上げさして頂き、臨床医にとって理解しやすく、より良い感染症検査体制について考えたいと思います。


微生物検査分野

小泉 章

本年度の微生物検査分野は、『感染症診療、臨床医と感染症検査技師の連携』と題し、研究班を企画したいと思います。近畿の検査学会(大阪)の中で行われるシンポジュウムにおいても感染症の症例カンファレンスを通して、種々の領域の感染症をもとに医師と技師間で行うべき情報共有と感染症診療をスムーズに行う為の連携についてテーマとし行われる予定です。昨今、学会や研究会等では感染症の迅速診断と適正治療に役立つ感染症検査について医師と技師間で話し合われる機会が増加しており、重要視される臨床情報の提供と収集、付加価値の高い感染症検査情報の迅速的な情報提供についても考えられるようになりました。当研究班においても臨床医や感染症専門医に参加していただきながら臨床医と技師間でディスカッンョンを行い『感染症診療に役立つ検査』、『診断と治療に直結する情報交換とは?』について考える機会を増やしたいと思っています。

コントロールサーベイについても、同様に従来のフォトサーベイ、同定、薬剤感受性試験に加え、『臨床からの情報収集を適切に行い、微生物検査に有効利用する一連の流れがうまく出来ているか?』 また、検査結果を基に、『重要な付加情報を適切に加味して臨床医に伝達することが出来ているか?』をテーマに各設問を作成しています。

サーベイ同様、今後の勉強会についても、臨床とのコミュニケーションを重要視した企画を中心に検討中ですので、積極的に参加していただきます様、宜しくお願い申し上げます。


ウイルス検査分野

藪内博史

ウイルス検査分野としまして、当初の計画には有りませんでしたが、輸血・移植検査分野と合同で、「輸血後感染症」をテーマに、10月には肝炎ウイルス、12月にはHIVについて試薬メーカーの学術の方を御招きして、講演会を企画しました。多数ご参加下さい。

 皆様もご存知のとおり、わが国においてはHIV感染者が危機的増加の傾向に有ります。衛生環境も整い、科学技術も発達した先進国でありながら、HIV感染防止意識の低さには驚きを隠せません。私達医療従事者が正しい知識を持ち、この危機的状況を改善して行く運動の歯車のひとつになれればと考えます。皆さん、HIVについて正しく理解するためにもぜひ講演会にご参加下さい。また、研修会について皆様のご意見をお聞かせ下さい。


輸血・移植検査部門

輸血・移植検査分野

藤原 美子

 今年度の課題は、『基礎から応用へ』ということで4月から基礎勉強会を行ってきました。なぜ、いまさら基礎を?といわれるかもしれませんが、過去3年間のアンケート調査結果や技師会活動を通じて、会員の皆様が望んでいることとは、ということを検討し今年度の課題を決めました。

それに、一般的に「輸血検査は経験と知識が必要」と言われますが、できるだけ奈臨技のレベルアップにつなげたい!そのためには継続的に勉強会を行う必要があり多数の先生方にお願いし、月1回の割合が実現しています。

上半期は『赤の検査』を中心に取り組んできました。

後半の予定として、免疫検査分野と合同で、『輸血後感染症の基礎から最新の治験まで』を以下に企画しています。

1026日(金)『ウイルス肝炎について』奈良医大臨床医学校舎大会議室

127日(金)『HIVについて』奈良医大臨床医学校舎大会議室

 『白の検査』については、現在準備を進めている最中です。会員の皆様好ご期待ください。


検査総合管理部門

部 弘司

昨年度は、臨床検査の安全を考える―リスクマネージメント入門―をメインテーマに、電子メールを利用して事業を展開いたしました。第1回「リスクマネージメントとは」、第2回「医療、臨床検査のTQM」、第3回「安全のための規格」として、テキストを作成し、登録会員へ配信、レポート回収をおこないました。そして、第4回は、生涯教育委員会事業として「医療システムからみた安全管理と今後の動向―基礎と実際―」をテーマに、奈良県社会福祉総合センターにおける会場研修会といたしました。外部講師として、日本光電株式会社医療機器技術センターシステム部の小山武彦氏を迎え、今後の行政施策であるe−Japan、新IT戦略から臨床検査システムの標準化など幅広い内容を拝聴することができました。当日は、九州大学からも参加がありました。さらに、各参加者から寄せられたすべてのレポートを「まとめ集」として配布し、参加者全員で問題点を共有できるように努めました。

このように、電子メールを媒体として、研修会を企画いたしました目的は、時間、場所等の制約を受けずに参加でき、自由、個別に質問、回答がおこなえるとともに、適時、円滑に情報提供ができることにあります(若干名ではありますが、他県からの問い合わせ、参加がありました)。しかし、はじめての試みであり、計画どおり進行できなかった点も多く、今後の課題としたいと思います。現在は、インターネットホームページ委員会の知恵と技術をお借りして、研修会(リスクマネージメント入門―分析法―)を進めております。

社会における安全管理対策は、いまなお厳しい局面が続いております。医療におきましても、安全管理の重要性は、誰しもが認識していることではありますが、いざ、事故、過誤を予防するといった観点からは、なかなか考えにくいものです。これが、安全対策が後手に回ってしまう結果となる理由のひとつです。

また、患者さまの権利意識の高まりから、誤解や無理解による検査技師への過失責任を問う事例も発生しております。このような現状をふまえ、患者さまはもちろんのこと、自分の身を守るためにも、いろいろな安全対策を立案する必要があるわけです。

「ヒトは、誰でも間違いをするもの」という大原則に立って、いかに安全管理体制を構築できるのか、ひとりひとりが考え、意見を寄せ合う研修会にしたいと思っております。

研修期間内なら「いつでも」「どこでも」「だれでも」

電子メールの利便性をフルに発揮させ、この研修会を実り多いものにしていきましょう。

いまからでも、遅くはありません。みなさまのご参加をお待ち申し上げます。