平成27年1月10日(土)奈良県立医科大学臨床大会議室において、(株)JAPAN・SIQ協会 中村 千恵子先生をお迎えし、「メンタルヘルスマネジメント」と題して標記の講演会が開催され、参加しましたので報告いたします。
冒頭、先生は「お仕事は楽しいですか?」と質問されました。「即座にうなずいた方は心が健康な方ですね、一般には1990年代末以降、うつによる休暇は4倍に増加しています。」とのことでした。
自らが日本のミセススチュワーデス1号であった事から、職場での大きなストレスで髪が抜け、はげができた事などのエピソードを交え、メンタルヘルスを企業にとってのリスク管理と捉え、職場の上司として部下の心の健康管理をどのようにすべきかを分かりやすく説明して頂きました。
ストレスを前向きにとらえる人は、ストレスを成長の糧とすることができますが、多くの人はストレスによって心・技・体のバランスが崩れ歪みとなり、長時間の歪みが心を蝕んでゆきます。職場での役割を果たせないことから同僚から頼りにされず存在意義を見失い、心が折れる事があります。その時、上司としてどのように部下と関わっていけるでしょうか。
その方策として、
1)部下のストレス反応を早期に捉えるために、「職業性ストレス簡易調査表」(厚労省版ネットで入手可能)を活用する。
2)日頃のコミュニケーションを良好に保ち、相談されやすい雰囲気を作る。
3)アサーティブコミュニケーション(アサーション)で部下の心をつかむ。などを紹介していただきました。
アサーションとは、「自分も相手も大切にする自己表現」を意味します。攻撃的な表現でも非主張的な表現でもなく、さわやかな人間関係を作る事を目的とした、コミュニケーションの方法と関わり方を教えてくれます。たとえば、「皆が休みを取れないほどの繁忙期に休みが欲しいと言ってきた部下に何と答えますか?」と質問されました。全か無かの思考や、感情的な決め付けでは良いコミュニケーションは得られず双方にストレスが溜まります。大切なのは自分の思いや気持ちをはっきりさせ、その気持ちになって今後の展望を立てる。そうすることで部下にかける言葉が違ってくるはずだと言うのです。
近年では新卒3年以内の離職率が30%を超え、新型うつ病といわれる新たな病態が社会的に問題となっています。労働災害と認定されることも多く、会社が被るリスクを常に考えなくてはなりません。私たちは部下や同僚がそうなる前に、“人は楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなるのだ”(ウイリアム-ジェームズ)を信じて職場の楽しい雰囲気作りに邁進していきましょう。
もちろん、管理者自身のメンタルヘルスケアも忘れずに。