まず最初に細胞検査士について少し紹介させて頂きます。細胞検査士は数ある臨床検査技師の認定資格の草分けと言われており、昭和44年から現在まで約9,000名が認定を受けています。受験資格は臨床検査技師の国家資格を取得後、1年以上の細胞診業務の実務経験を積むこと、もしくは細胞検査士養成コースのある大学で所定の単位を修得することで得られます。試験は一次試験(筆記)、二次試験(実技)で構成され、最終的には4人に1人程度の合格と厳しいものです。
私は細胞診に配属されたのをきっかけにこの細胞検査士を取得することを目標に定めました。2年後もしくは3年後の取得を目標としていましたが、まずは相手を知るために受けてみようと軽い気持ちで受験を決めました。そのことを上司に伝えると、「それなら受かるつもりでやりなさい」と思いがけない言葉を頂き、「こりゃ大変なことになったな」と内心思いましたが、「こっちもそのつもりで指導する」と大変ありがたいお言葉も頂きました。そこから検査室を巻き込んでの受験勉強の日々が始まりました。初めは何から手を付けていいのか分からず、なかなか前に進みませんでしたが、細胞検査士の先輩方からアドバイスを頂きながら一次試験の過去問を解き、ノートに纏めるところから始めました。過去問は答えがついておらず解くのに大変苦労しました。実技に必要な技術は日常業務の標本作成や、鏡検を指導して頂くことで徐々に身に付けていきました。当院には細胞検査士が4名おりますが、皆さん日常業務で忙しい中、質問しても嫌な顔一つせず丁寧に指導してくださいました。また効率よく勉強ができるように業務内容を考慮して頂いたり、自らの受験体験に基づいてアドバイスをくださったりと、大きなサポートを受けて勉強を進めていくことができました。
さらに奈臨技生涯教育研修会の一環として第1回細胞診勉強会ベーシックコースが開催されるという好機にも恵まれました。これは奈良市総合医療検査センターの安達さんが中心となり毎週火曜日の19:00から約1時間半、計32回に渡る細胞検査士取得を目標とした勉強会です。勉強会では奈良県内各施設の細胞検査士の方々が交代で講師を担当してくださり“細胞検査士とは”というところから始まり、二次試験に焦点を当てたスクリーニングの指導、最終的には模擬試験までと試験直前まで指導してくださいました。
そして昨年の10月31日に一次試験、12月12日、13日には二次試験が開催されました。当日は心地よい緊張感の中受験することができました。結果、無事合格することができました。取得できた嬉しさと指導してくださった方々に顔向けができるという安堵感、また細胞検査士の名に恥じぬよう、少しでも早く自信を持って細胞が読めるようならなければとより一層気が引き締まる思いでした。
まずは資格が取れたことを自信にし、指導してくださった方々に恩返しができるよう日々の業務に取り組んでいきたいと思います。最後になりましたが検査室の方々、また勉強会にてご指導頂きました方々にこの場をお借りしまして御礼申し上げます。