第19回奈良県医学検査学会

C型慢牲活動性肝炎のIFN治療効果判定時期の検討

○南 睦 大峠和彦 前川芳明 山中亨 松尾収二 (天理よろづ相談所病院)

<はじめに>
1992年にC型慢性活動性肝炎のIFN治療が保険適応になり10年が経過した.この間治療効果についてさまざまな研究がなされ,IFN終了6ヶ月時での著効率は約30%とされている.当院における長期の経過観察例を用いて効果判定時期について検討した.

<対象および方法>
対象は当院でIFN'治療を受け3年以上経過観察された63症例を用いた.効果判定はIFN投与終了後6ヶ月時のRT-PCR(アンプリコアHCV定性・ロッシュ)とALT値より3群に分けた.著効群はPCR(一)でALT30IU/l以下,有効群はPCR(十)でALT30IU/l以下,無効群はPCRの結果に関わらずALT30IU/l以上(PCR(-)1例,PCR(+)24例)とした.

<結果および考察>

表1:IFN終了6ヶ月時の効果判定

著効 有効 無効
セロタイプ 32 6 25
セロタイプ1 5 1 15
セロタイプ2 14 4 6
判定不能・未実施 13 1 4


著効は63例中32例(50%)と一般的な報告より高かった(表1).これは投与対象をある程度選択していることによると考えられた,著効群はセロタイプ2が多く,無効群ではセロタイプ1が多かった.アンプリコアHCV-RNA定量(ロッシュ)が実施された17例についてウイルス量をみると著効群8例は平均106.9kcopy/m(Min6,Max355),無効群7例は平均848.2kcopy/ml(Min94,Max1842)と明らかな差を認めた.著効が期待できるのは50kcopy/ml以下と言われており,'17例中50kcopy/ml以下の3例は全て著効(セロタイプ11例セロタイプ22例)であった,

50kcopy/ml以上では著効5例,無効7例で,著効の5例は未検査の1例を除きセロタイプ2,無効の7例は判定不能の1例を除きセロタイプ1であつた.
以上のことからIFN効果を左右するファクターはウイルス量とセロタイプが重要であると言える.IFN'前のALT値については著効群(平均138.1IU/l Min16,Max433)無効群(平均117.3IU/l Min39,Max389)で差を認めなかった.IFN終了後3年以上最高8年間の経過を追ったところ,PCRの結果はIFN投与後6ヶ月時以降変化する例はみられなかった.

表2:IFN終了後のALTの推移

長期経過
6ヶ月時 30以下 60以下 100以下 101以上
30以下 28 6 2 2
31〜60 0 7 2 6
61〜100 0 1 2 1
101以上 0 0 2 4


ALTの推移では19例(30%)に上昇がみられ,3例(5%)に低下がみられた(表2).
このことからIFN終了6ヶ月時のALT値からは予後の推測は困難であると言える.IFN治療によりウイルスが陰性化しなくてもALTを60IU/l以下に保っことは肝硬変,肝癌への進展を遅らせると言われていることからみて,ALT値は長期的に観察する必要があると考えられた.なお,今回観察した63例では42例(67%)が3年以上ALT60IU/l以下を保っており,IFN'治療により肝癌への進展を遅らせる効果は期待出来ると思われた.

<まとめ>

IFN治療効果の判定は,ウイルスの消長についてはIFN投与後6ヶ月時のPCR定性法で,ALT値については経過観察の必要があつた.

天理よろづ相談所病院臨床病理部 TEL0743-63-5611 内線8405

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