平成20年7月度(第1回)

出題: 藤本一満 会員

奈良県臨床衛生検査技師会ニュースの新企画といたしまして、生化学通信講座問題(NARA塾)を企画いたしました。2ヵ月を1セットとし、出題と解答をお届けいたします。
みなさま、ぜひ、トライしてみてください。


(PDF版 はこちらです:184KB)

問題1. メタボリックシンドロームの診断基準で必須項目はどれか。
1. 血清脂質異常(トリグリセリド値150mg/dL以上、またはHDLコレステロール値40mg/dL未満)
2. 血圧高値(最高血圧130mmHg以上、または最低血圧85mmHg以上)
3. 内臓脂肪蓄積(ウエスト周囲径が男性で85cm、女性で90cm以上)   
4. 高血糖(空腹時血糖値110mg/dL)
5. 高尿酸血症(7mg/dl以上)
.
.
問題2. 質量パーセント濃度96%、密度1.84g/cmの濃硫酸を精製水で3倍希釈したときのモル濃度はいくらか。硫酸の分子量を98とする。
1.
6mol/L   
2.
9mol/L 
3.
12mol/L
4.
15mol/L
5.
18mol/L
.
.
問題3. 生化学検査用の自動分析装置で分光器として最も用いられているのはどれか。
1.
回折格子
2.
プリズム
3.
中空陰極放電管
4.
石英セル
5.
光電子増倍管
.
.
問題4. ランバート・ベーアの法則が成り立つ溶液でモル吸光係数を求める式はどれか。
1.
モル吸光係数=吸光度×濃度(mol/l)×セル長(cm)
2.
モル吸光係数=吸光度×(セル長 / 濃度)
3.
モル吸光係数=吸光度×(濃度 / セル長)
4.
モル吸光係数=吸光度 / (濃度 ×セル長)
5.
モル吸光係数=(濃度 ×セル長) / 吸光度
.
.
問題5. JSCC常用基準法によるAST測定試薬において試薬中に含まれない物質はどれか。
1.
ピリドキサールリン酸
2.
アスパラギン酸
3.
還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
4.
アルファ- ケトグルタル酸
5.
リンゴ酸脱水素酵素
.
.
問題6. d-グルコースのみを基質とする酵素はどれか。2つ選べ。
1.
グルコースデヒドロゲナーゼ 
2.
グルコースオキシダーゼ
3.
ピラノースオキシダーゼ 
4.
ムタロターゼ
5.
ヘキソキナーゼ
.
.
問題7. 糖尿病診断基準において糖尿病と診断される判定区分の組合せはどれか。(単位はmg/dl)
空腹時血糖  75g糖負荷試験2時間値  随時血糖値
1.
126以上     140以上       126以上
2.
126以上     200以上       200以上
3.
140以上     160以上       200以上
4.
200以上     140以上       200以上
5.
200以上     200以上       140以上
.
.
問題8. リポ蛋白の芯(コア)の部分に存在する物質はどれか。2つ選べ。
1.
遊離型コレステロール
2.
エステル型コレステロール
3.
リン脂質
4.
中性脂肪
5.
アポ蛋白
.
.
問題9. トリオレインをリポプロテインリパーゼで水解して生成する物質はどれか。2つ選べ。
1. オレイン酸
2. 過酸化水素
3. グリセロール
4. グリセロリン酸
5.
.
.
問題10. 紫外部における吸光度の増加度から濃度を求める検査法はどれか。
1. 尿酸 ー ウリカーゼ/紫外部吸収法
2. 尿素 ー ウレアーゼ/グルタミン酸脱水素酵素法
3. AST ー 紫外部吸収法
4. グルコース ー ヘキソキナーゼ/グルコース-6-リン酸脱水素酵素法
5. ビリルビン ー ビリルビンオキシダーゼ法
.
.
問題11. 直接ビリルビンが高値になる疾患はどれか。2つ選べ。
1. Rotor病
2. Dubin-Johnson症候群
3. Crigler-Najjar症候群 
4. Gilbert症候群
5. 新生児黄疸 
.
.
問題12. セ・ア膜による電気泳動でガンマ位に泳動される急性相反応蛋白はどれか。
1. セルロプラスミン
2. トランスフェリン
3. トランスサイレチン 
4. C反応性蛋白
5. ハプトグロビン
.
.
問題13. 散乱光を捉えて測定する方法はどれか。
1. 比ろう法 
2. 比濁法
3. 炎光光度法
4. 原子吸光法
5. 蛍光光度法
.
.
問題14. 正しいのはどれか。
1. ビューレット反応は酸性下でのペプチド骨格と銅イオンとの結合である。
2. 蛋白中の窒素量は約6.25%である。
3. アルブミンは等電点pHよりアルカリ側でBCGなどの陰イオン性色素と結合する。
4. 蛋白は等電点pHで最も溶解し安定している。
5. 蛋白は立位と臥位では立位のほうが高値傾向である。
.
.
問題15. 血清鉄代謝とその測定法について正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 1分子のトランスフェリンは3つの鉄原子と結合する。
2. 総鉄結合能の基準値は300〜400μg/dlである。
3. バソフェナンスロリンは3価の鉄とキレート結合する。
4. 血清鉄は朝低く、夜間高くなり、日内変動が大きい。
5. 血清鉄と不飽和鉄結合能との和は総鉄結合能である。
.
.
問題16. Km値と同じ基質濃度のもとでの反応速度はVmaxの何%か。ただし、本酵素反応はミカエリス・メンテンの式に従うものとする。
1. 10%
2. 25%
3. 50%
4. 75%
5. 95%
.
.
問題17. Lineweaver-Burkのグラフ(下図)において、(a)が0.01、(b)が−0.5であった。このグラフから傾きはいくらか。単位は省略する。
1. 0.02
2. 0.1
3. 1.0
4. 2.0
5. 100.0
.
.
問題18. 酵素活性を求めよ。2分間の吸光度変化量が0.3500、モル吸光係数が6300、試料量10μl、試薬量350μlとする。
1. 500  IU/l 
2. 1000  IU/l 
3. 1500  IU/l
4. 2000  IU/l 
5. 2500  IU/l 
.
.
問題19. ヘム酵素はどれか。2つ選べ。
1. カタラーゼ
2. アミラーゼ
3. アルカリ性ホスファターゼ
4. ペルオキシダーゼ
5. サルコシンオキシダーゼ 
.
.
問題20. 検査値が低下(減少)する組合せはどれか。2つ選べ。
1. 褐色細胞腫 ー 尿中バニリルマンデル酸
2. バセドウ病 ー 血清トリヨードサイロニン
3. 原発性アルドステロン症 ー 血清カリウム
4. 鉄欠乏性貧血 ー 血清フェリチン
5. アジソン病 ー 血清ACTH

以上で、第1回(設問編)は終了です。おつかれさまでした。
*新企画 生化学通信講座は、2ヶ月に一度問題を提出し、翌月は回答と解説を掲載します。
皆さん是非チャレンジしてください。 (by 奈良県臨床衛生検査技師会 藤本)

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