なら糖尿病デー

『なら糖尿病デー2001』に参加して

天理市立病院 城 志朗

 晩秋最後の日曜日、晴天の日差しが心地よく、奈良市はこの秋最後の紅葉狩で最高の人出となった。
 奈良県文化会館で行われた『なら糖尿病デー2001』は県下九つの糖尿病患者会に栄養士、看護士、歯科衛生士、医師、検査技師、薬剤師、シューフィッター、運動療法士、製薬会社等の数々の団体が参加して糖尿病についてのシンポジューム、患者会との意見交換、栄養指導、運動療法の指導、血液検査等の多彩なイベントが催された。又、糖尿病についての日頃の疑問や注意点が直接聞ける質問コ―ナーやハートフル病院などが設置され大勢の人々で盛況であった。
 このなら糖尿病デーは患者会の会員が糖尿病ラリーと呼称をつけて各々の団体の企画するイベントコーナーに参加して糖尿病に対する正しい知識や理解を深めて糖尿病を克服して行こうと言う趣旨に、我々検査技師会は臨床検査コーナーを設置して技師会会員10名及びメーカーMRと共に血糖測定とHbA1cの測定を担当した。
 参加された患者はその殆どが自己血糖を管理している人で、我々検査コーナーに来る人はそのデータの意味をよく理解して深く学習している事に感心した。しかし、中には血糖値が60mg/dl以下の人が居て、しんどくないですか?と訊ねると一寸いつもと違う様な気がすると言って持っている飴を口に含んでいた。また、HbA1cが11%を越えている人もいた。
 今回、私がこの会に参加して良かった事の一つに、検査をしながら対話をする中で患者からの生の声を聞く事が出来た事である。日頃の検査で困っている事や疑問点などその問いかけの内容は多岐にわたった。
ある人は、自分の使っている測定機は計測までに一寸もたつくと測定しないので、もっと時間に余裕のある測定機はないか。また指先を使う仕事をしているので指先以外で測定出来る機器はないか。血糖測定をよく失敗するのでチップが不足するがどうしたら良いか。また、過去に糖尿病と言われたが、それを自らが克服して今は糖尿病では無いと医者から言われていると自慢して帰った人(勿論データも正常)。また、決められた時間に測定してもいつも(測定値が)高いのはなぜか。と返事に困る質問もあった。
患者の問いには極力わかり易い答えやアドバイスをしたつもりではあるがどれだけ理解してもらえたかは疑問である。今回得た貴重な患者の生の声を明日への仕事に結び付たいと実感した次第である。

  

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