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奈臨技ニュース
平成23年 8月号
第207号 2010年 8月 1日


<学会・研修会だより>

* 第21回日本サイトメトリー学会学術集会に参加して*


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 6月25〜26日に京都市国際交流会館で行われました第21回日本サイトメトリー学会学術集会が行われました。本学会は、医師、臨床検査技師、基礎研究者などが参加しており、演題も血液疾患、自己免疫疾患などの臨床的な検討から、iPSやESなどの再生分野における研究報告まで幅広く勉強できるのもサイトメトリー学会の楽しみです。

 今回、個人的に最も興味深かったのは、九州大学医学研究院病態修復内科、赤司浩一教授の「ヒト白血病幹細胞」についての講演でした。癌幹細胞の定義は、自己複製能、多分化能を有することです。ヒト白血病幹細胞では、CD34陽性CD38陰性という抗原形質の細胞を1つ免疫不全マウスに移植すると、ヒト白血病細胞が増加します。このことにより白血病幹細胞が証明されました。また、幹細胞の多くがG0期にあって細胞周期に依存的な化学療法には抵抗性を示し、治癒のためには白血病幹細胞の根絶が必要であると考えられています。講演では、新規に白血病幹細胞のマーカーとしてTIM-3 (T-cell immunoglobulin mucin-3)を発見されたことを報告されました。また、今後治療の標的マーカーの一つとして、有用であることを講演されました。(TIM-3 is a promising target to selectively kill acute myeloid leukemia stem cells. Cell Stem Cell, 7, 708-717, 2010)

最後に、フローサイトメリ症例カンァレスが行われました。これは、困った症例や、貴重な症例をカンファレンスするセッションです。7人の臨床検査技師と1人の医師から症例提示があり、個人的には大変勉強になりました。このうち、奈良県からは、2演題あり、DLBCLにCD2、CD8のT cell系抗原が発現した症例、AITLの形質細胞にクロナリティーが認められた症例が報告されました。

来年も行われるようですので、みなさん参加しデスカッションしましょう。

(文責 奈良県立医科大学附属病院 竹田 友宏)

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* 学会参加記:日本化学療法学会*


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 今年の日本化学療法学会(以下化療)総会は北海道,札幌にて行われました。場所が北海道というだけでやる気が出たのは私だけではないはずです・・・。しかし私が札幌に到着した時の第一声は,「寒い!」でした。当時札幌の最高気温は,天理の最低気温より低かったのです。羽織るものを持って行って正解でした。

 今回の化療の抄録には「がんばろう東北,がんばろう日本」が掲げられており,どのような状況にあっても患者さんのために出来る最善のことは何かを考えるのが臨床に携わる者としての務めであるということが強調されていました。そのせいかどうか分かりませんが,今回の学会にはテーマが定められておらず,幅広い内容だったと思いました。

 今回私が特に注目したのは,自分の発表にも関連していたMRSA感染症と抗MRSA薬の使い方,薬剤感受性試験におけるMICやブレークポイントの再考,の二つでした。

一つ目について印象深かった発表は,MRSA感染症治療を含む感染症診療における日本と米国の違いを挙げ,日本の感染症診療が如何にきめ細かいかを取り上げたものでした。演者の先生は外科系の内容で発表されていましたが,日本の感染症診療は米国と違い,ときに欧米でエビデンスの確立されてない診療でも医者が患者さんにとって最善だと思う診療は積極的に進めていくべきだ,と発表しており,またその診療法が如何に優れていたかを発表されていました。しかし先生は同時に,日本の診療法は優れているがこれを保険制度の違う諸外国に対し発信するのは難しい,とも話していました。エビデンスが確立されている欧米の手法が必ずしも日本の医療に合うわけではないので,その国独自の最善の方法が確立されるのが本来のありかたなのだなと感じました。

 二つ目については,一つ目と印象が似ていますが,現在日本の大多数の微生物検査室で使用されている薬剤感受性試験の判定基準,すなわちCLSI(Clinical Laboratory Standard Institute)の定めるブレークポイントは日本の感染症検査事情に適応されうるか?という内容です。これも米国と日本の感染症診療の違いから始まりましたが,CLSIのブレークポイントは使いやすい,という利点と現在国内で使用されている薬剤感受性の自動分析器の殆どがCLSI基準で作られている,という点があり,気持ちはCLSIから脱却したいが実現への道のりは困難だ,というのが現状です。抗菌薬の使い方は日本と米国では乖離しますがその国の事情もありますので当然のことと思われます。従って,今後国内の感染症検査に関するエビデンスが確立され,日本はこの方向で行くという道筋が立てばいいな,と感じました。

 以上,とりとめの無い文章になってしまいましたが,日頃疑問に思っていた日本と米国の違いについての話題が取り上げられていたので,わだかまりが溶けて良かったです。

(文責 天理よろづ相談所病院臨床病理部 阿部教行)

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平成23年度 日臨技 近畿地区輸血研修会
〜輸血療法の危機管理体制〜
のご案内


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平成23年度 日臨技 近畿地区輸血研修会 〜輸血療法の危機管理体制〜 のご案内は、
こちらの特設ページをご参照ください(クリックしてください)。
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生涯教育研修会のお知らせ



尿沈渣検査実技講習会〔 専門-20 〕

講 師 : 奈臨技一般検査研究班 班員

日 時 :平成23年8月27日(土)15時30分〜18時30分
会 場 :奈良県立医科大学 基礎医学校舎 5階実習室

担 当 :一般検査分野(生涯教育研修:専門−20)
会 費 :無料(非会員:500円)

【要旨】
尿沈渣検査の基本成分から異型細胞まで幅広く鏡検していただく予定です。初心者の方も含め、多数のご参加をお待ちしています。

【問い合わせ先】
中村 彰宏(天理よろづ相談所病院) 
Tel 0743-63-5611(8665)  e-mail nakamurium_a802@yahoo.co.jp



WPW 症候群を知ろう〔 専門-20 〕

講 師 :川越  由美子 会員(平井病院)

日 時 :平成23年9月9日(金)18時30分〜20時00分
会 場 :平井病院 第2会議室

担 当 :機能検査分野(生涯教育研修:専門−20)
会 費 :無料(非会員:500円)

【要旨】
今回の勉強会は、WPW症候群をテーマで開催します。通常心臓興奮は、洞結節から発した電気信号が、心房をへて心室へ伝えられますが、WPW症候群は、先天的にそのルートにバイパスのできているケースです。

【問い合わせ先】
井田 淳(天理市立病院)
Tel 0743-63-1821 (120)  e-mail tenriharupapa@yahoo.co.jp



症例検討会〔 専門-20 〕

講 師 :木村 典子 会員(市立奈良病院)、川村 文 会員(県立奈良病院)
講 師 :宮原 由美 会員(県立医科大学)、下村 大樹 会員(天理よろづ相談所病院)

日 時 :平成23年9月14日(水)18時30分〜20時00分
会 場 :天理よろづ相談所病院 入院棟 地下会議室

担 当 :血液検査分野(生涯教育研修:専門−20
会 費 :無料(非会員:500円)   

【要旨】
血液疾患あるいは止血凝固異常の症例検討会を行います。各施設の講師より、1症例ずつ提示していただき、提示症例について、みんなで考えていく主旨の勉強会です。

【問い合わせ先】
下村 大樹(天理よろづ相談所病院)
*印刷版と問い合わせ先の氏名が異なっております。ご注意ください。
Tel 0743-63-5611 (8989)  e-mail dshimomura@tenriyorozu.jp





奈臨技アウトドア同好会より お知らせ


奈臨技アウトドア同好会の秋のレクリェーションを下記の日程で実施します。

本格的な登山にトライしたい! そんな初心者向けのコースが奈良県には沢山あります。

会員同士の親睦を深め、また家族の方と一緒に楽しんで頂けるよう企画しましたのでお誘い合わせの上、多くの方の参加をお待ち致します。

実施年月日

平成23年10月16日(日)
場   所 奈良県御所市櫛羅2589
葛城高原ロッジ  でんわ 0745-62-5083
参 加 資 格 技師会正会員、賛助会員および家族  定員45名
参 加 費 大人2,500円   小・中学生1,500円
申し込み先 福利厚生部 田中まで電話かメールでお申込み下さい
大和高田市立病院 臨床技術科
でんわ 0745-53-2901(5289)  yahoo mail : sisarino2m3@yahoo.co.jp
申込期日 9月30日(金)まで

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【 ハイキング日程表 】

09:00
近鉄八木駅南口ロータリー前集合 バス出発
10:00
葛城山登山出発(ロープウェイ利用可)
12:00
葛城ロッジ 昼食・休憩
14:00
下山(ロープウェイ利用可)
希望者15:00〜16:00ラッテたかまつ手作り体験(先着20名)
16:30
葛城山からバス出発 
17:30
近鉄八木駅南口ロータリー バス到着






日臨技「日臨技データ標準化・精度保証セミナー」
精度保証施設認証のための近畿地区精度管理研修会
のご案内



テ ー マ:−精度保証施設認証の取得を目指して−

 <実施スケジュール>

期  日 平成23年9月10日(土曜日)13:00〜17:30
会 場 アークレイ株式会社 京都研究所
京都市上京区岩栖院町59番地 擁翠園内
募集人数 150人
申込締切 平成23年8月31日
申 込 先 公財 天理よろづ相談所病院 臨床病理部 山本慶和
メールにて申込願います  labo4.1@tenriyorozu.jp




≪ 症例紹介 ≫

<家族歴>
特記すべきことなし
<現病歴>
出生時に問題はなかった。
痙攣様発作後、白目を向いたり硬直発作が出現するようになり呼びかけに対しても反応がなくなった為、当科受診となる。
【初診時検査結果】
〔末梢血〕

WBC 90 102 /μl RBC 490 104μl Hb 13.4 g/dl HCT 38.9 % MCV 79.4 fl MCH 27.3 pg
MCHC 34.4 % PLT 34.9 104μl

〔生化学〕

CRP 0.1 mg/dl TP 7.3 g/dl AST 36 IU/l ALT 16 IU/l AMY 25 IU/l LDH 239 IU/l
Glu 110 mg/dl BUN 10 mg/dl CRE 0.37 mg/dl CA 10.4 mg/dl Pi 5.5 mg/dl
Na 139 mEq/l K 4.2 mEq/l Cl 104 mEq/l

〔内分泌〕

TSH 1.17 μU/ml FT4 1.56 mg/dl FT3 4.4 pg/ml
サイトメガロ,風疹,トキソプラズマ抗体は、すべて陰性
染色体異常なし  アミノ酸異常なし

〔画像診断〕

拡散強調画像では有意な異常信号域を指摘できません。また、頭蓋内に明らかな腫瘤性病変、出血、
皮質に及ぶ塞栓巣を指摘できません。

〔脳波検査〕

 ヒプスアリスミア波形

【考察】

 一般に、West症候群の約50〜60%では、その後も何等かのてんかん発作が持続し、レノックスガストー
症候群や難治性部分てんかんなどに移行することが知られている。また、70〜85%に知的障害を認め、
50%以上は,障害程度が重いと指摘されている 。
さらに、Aicardi症候群は、発作予後、発達予後ともに不良であると報告されている。一般に、症候性
(画像診断上何らかの異常が存在する場合)に比べ潜因性West症候群(基礎疾患がない場合)は、発作
予後、発達予後とも良好なことが多い。また、潜因性症例の予後良好因子は、発症から治療開始までの
treatment lagが短いこと、ヒプスアリスミアの出現期間が短く、ACTHによく反応して再発が少ないこ
とが挙げられている。
予後不良症例は、treatment lagが長い傾向にある為に起こりうる。発作が軽微である場合は、家族は発
作を「癖」と思い、発症から治療開始までに時間がかかる場合が多く、予後不良となるケースが多い。
また、今回の症例は、発作を発作と認識していなかった為、treatment lagが長くかかってしまい予後不
良群に移行する可能性が高かった。しかし、今回の症例の場合は脳波検査時にヒプスアリスミア波形を
早期に確認できたことで早期診断治療(VB6,VPAのみ)ができ予後良好となった。検査技師として
は迅速かつ的確にヒプスアリスミア波形と判断することで診断治療に役立てると私は思う。

(文責 県立医科大学附属病院 高谷恒範)




*ちょっと一息*



過日園芸ショップへ行くと、ゴーヤや朝顔の苗を買い求める人が結構いる事に気づいた。

震災後の節電は東日本だけの問題ではなく今や日本中の課題だ。昔からの智恵と工夫で乗り切ろうと、私のまわりの先輩達はエコカーテンへの取り組みが早かった。聞くところによると、今年はゴーヤを植える人が多いだろうから、もらえると予想し、へちまを植えたとか、冬瓜にしたとか。そんな方々の影響を受け私も省エネにトライする事にした。
まずは定番の『ゴーヤ』。次に『紀州の手まり』というかわいいネーミングにひかれ薄紅色の朝顔。そしてアフリカを連想させ暑さに強そうな宿根草の『ケープタウンブルー』朝顔の3種類を買い求めた。思うようにつるが伸びていかず、地面を這い出したので無理やり引っ張るとプツンと根からきれるというハプニングがあったが、2代目は、どうにか葉をいっぱいに広げ、たくましく育っている。

それにしてもこの未曾有の大震災には、言いようのない強い衝撃を受けてしまった。
二次災害の原発事故が追い討ちをかけ、東北地方の被害は想像を絶するなか復旧作業の遅さにジレンマを覚えた。こんなに科学が発達したにもかかわらず、なぜ予知不可能だったのか。昔から怖いものの代表として『地震、雷、火事、親父』という諺があるが、『地震』は自然現象の中で真っ先に挙られているように、やはり一番恐ろしいものであったという事だ。先人の言い伝えは、テレビもラジオもない時代の人々の身をもっての教訓だから、やはりあなどれなかった。怖い自然現象として次にくる『雷』も一瞬にして生命を脅かすし、『火事』も多くの犠牲を出す。昔の人の教えは、これからも子孫に伝えるいしずえとして大切にしていかねばならない教訓だと思う。昔の人の言霊を大切にし、これからの暑い季節を節電できる方法を模索して、ちょっとだけ昭和の生活ににタイムスリップしようと思っている。ところで『親父』はいったいどこへ行ってしまったんだろう?           

(文責 県立奈良病院  音羽 裕子)


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奈臨技行事予定(8月)


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尿沈渣実技講習会

一般検査

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行事参加前には当ホームページで変更の有無をご確認下さい。


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 なでしこジャパン やりましたね。延長後半の執念の同点ゴールももちろんですが、特に印象に残ったのは、円陣を組みPK戦に向かう選手の表情でした。120分もの死闘を120%の力を出し切っての満足感溢れるあの澄み切ったとでも言うべき表情です。

 サッカーは個が独りよがりになっても、全体が個を押し潰し殺してしまうようなことでもチームとしてのパワーは良くはなりません。私達も医療チームの1員として、なでしこの面々のように活躍していきたいものですね…ってちょっと強引だったですか〜?♪(笑)              

広報一同 




* 奈臨技IT委員会からのお願い *

 奈臨技ホームページを、ご覧頂き有り難うございます。当委員会ではコンテンツ充実に、日ごろ心掛けておりますが、学術資料の更なる充実を図るため、論文、勉強会資料、推薦論文とその要旨などの投稿をお待ちしております。さらに、学術リンク集の掲載に向け、おすすめホームページの調査も行っております。ご協力をお願い致します。

また、奈臨技ホームページの更新状況などをお知らせする、奈臨技メーリングリストサービスも行っております。ご希望の方は、「配信希望」とお書きになり、下記メールアドレスか、TEL/FAXにてお申し込みください(メールアドレスなど個人情報は厳重に管理いたします)。

奈臨技IT委員会

連絡先 大林 準 (天理医学研究所)
(申し訳ありませんが、FAXか電子メールにてお願い申し上げます) 
FAX 0743-63-5611    E-mail: info@naraamt.or.jp



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