当センターでは平成28年1月1日からJCCLS共用基準範囲を基に基準範囲を変更しました。昨年まで採用していた基準範囲は10年以上前から使用していた旧システムのマスターにすでに登録されており、採用の経緯を知る者はいませんでした。当センターは平成23年から継続して精度保証施設認証を受けており、JCCLS共用基準範囲を利用する条件を満たしていると考え、JCCLS共用基準範囲採用に向けて準備を進めました。当センターでは中央臨床検査部からの議題を中央臨床検査部委員会(随時開催)で検討し、その内容を院議(毎週開催)で報告、問題点があれば差し戻し検討します。問題点がなければ各科部長の出席する病院連絡会(月1回開催)で周知します。
9月7日 中央臨床検査部委員会で、JCCLS共用基準範囲を採用した基準範囲への変更を提案しました(脂質の一部は動脈硬化学会のガイドラインを採用)。参考資料として 福岡県医師会の「共用基準範囲の採用について」、JCCLS専門委員会報告より「平成27年2月末日時点で共用基準範囲にご賛同いただいている団体名」、及び現行基準範囲・JCCLS共用基準範囲・改定案の比較表を提示しました。出席した医師からは、現行の基準範囲と案との違い、測定方法の変更があるのか、検歴紹介への支障、奈良医大や奈良県総合医療センター等、他施設の動向などの質問があり、中検ニュースで広報するようにと提案がありました。
中検委員会での審議内容を9月18日院議で報告、10月9日病院連絡会で周知し、中検ニュースを発行しました。中検ニュースの中で11月末までパブリックコメントを募集し、院内メールで一斉配信しました。院内のイントラネットにも中検ニュース、JCCLS共用基準範囲?解説と利用の手引き?、賛同団体、比較表を公開しました。
12月初めに1月1日からの変更をお知らせし、院内イントラネットに新旧対比表を公開しました。
患者さんへの案内として「検査項目の参考値変更のお知らせ」を受付窓口に置いています。先日、「12月の結果ではLがついていなかったが・・」と患者さんからの問い合わせがあり、今回の参考値変更の目的、測定方法は変わっていないので過去の値と比較できること、今回の変更の結果、正常範囲に入らなくなったという理由で、現在受けておられる治療方針が変更になることはないことを「お知らせ」を使って、裏の新旧対比表と患者さんの検査結果を見比べながら説明させていただきました。きちんと検査結果を見てくださっていることに感謝いたしました。