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 奈臨技ニュース
平成28年 7月号
第266号 2016年 7月 1日
 



熊本地震支援活動に参加して



天理よろづ相談所病院 吉岡 明治

日臨技より各都道府県技師会に熊本地震の支援要請があり、5月3日〜5日に「ゴールデンウィーク熊本地震エコノミークラス症候群フォローアップ検診」が行われました。 

日臨技としてこのような災害支援活動を行う事は初めての試みであり、私も奈臨技事務局長よりお話をいただき、とても貴重な経験の機会を与えていただきました。
主には下肢静脈エコーを中心に支援活動を行うという内容であり、震災から5日後に車中泊の被災者が肺塞栓による死亡というニュースが流れたこともあり、下肢静脈血栓症に関心が高まっているときでした。奈良県からは私の他にも3名の技師がDVT検診に参加されており、皆様大先輩であり私のような超音波検査を多少かじった程度の若輩者では荷が重いなぁ…と思いつつ熊本まで旅立ちました。

 期間中の対策本部は熊本保健科学大学となっており、宿泊は大学の体育館で技師会が準備してくれた寝袋で寝ました。床は固くなかなか寝付けず、また夜中には余震で目が覚めるなど初日から不安な夜を経験しました。ただこの時期には水道や電気などは復旧しておりこれらの心配をすることはなかったのですが、震災直後は断水のためトイレ・シャワーは不可、度重なる余震(しかも震度3クラスが普通)、集団での避難生活……などを考えると被災者のストレスは想像を絶するものであると感じながら、一晩を過ごしました。

 朝は8時からミーティングが行われ、初日には熊本技師会会長から今回の作戦名「がまだせ!熊本ブルドーザー作戦」が発表されました。「がまだせ」とは熊本弁で“がんばれ”という方言で、3日間集中してDVT検診を実施し、支援活動を行うという趣旨でした。支援活動は5〜6グループに分かれて熊本市内の避難所を訪問して行いました。各グループのリーダーには新潟中越地震や東北震災時に実際に支援活動経験のある技師が加わり、また避難所では東北震災時に活躍された福島医大の医師・看護師も同行してくださりました。このような方々と支援経験の情報交換ができ学ばせていただいたことはよい経験でありました。

 私の活動場所はアクアドームくまもとという国体等も行われるような大きな体育館と市内の避難所に指定されている公民館でした。どちらの施設も館内は会議室やホール、さらには廊下まで至る所に段ボールや毛布が敷かれており、避難生活の過酷さを目の当たりにしました。この中でわずかなスペースを借りて検査場所を確保しました。検診希望者には問診から血圧・SpO2測定を行い、下肢エコーを施行しました。エコーは下腿を中心に血栓の有無を検索し、血栓を認めた場合は採血(D-dimer測定)も行い、エコー所見(血栓の新鮮・陳旧性など)と合わせて医師から医療機関へ紹介していただきました。血栓を認めない場合でも、静脈径が太い場合や問診にて血栓症のリスクのある方には弾性ストッキング指導も行いました。私はストッキング指導の経験はなかったのですが、医師や看護師に指導いただき不慣れでしたが実践でき、貴重な経験でした。

 この支援活動への参加者は約100名(現地学生ボランティア含む)で、検診者は3日間で約700名に至ったそうです。被災者の方々は今後の生活や仕事、家族や健康面など多くの不安を抱えられており、今回私達が関わったのはこれらの不安の中のごく一部でわずかな時間でありました。活動前は自身も初めての経験であり本当に支援活動になるのか不安に思っていましたが、不慣れながら検査や予防策の説明などをすることで、安堵の声や感謝の言葉を頂け、少しでも被災者の不安軽減になったのであれば良かったと思いました。

 今回の活動を通じて、日臨技として災害時のDVT検診ガイドラインが確立され、今後どの地域で災害が起きても被災地技師会と連携して迅速な支援活動が行える体制を目指さなければならないと感じました。


奈良県臨床検査技師会にて募りました熊本大震災への義援金は74,122円となり

日臨技を通じて被災地へお届けさせて頂きました。ご協力ありがとうございました。








よろしくお願い致します。何でも気軽にご相談下さい。




第33回奈良県立医学検査学会
会長賞を受賞して


天理よろづ相談所病院 馬場 創汰

 去る5月22日、奈良県立医科大学にて第33回奈良県立医学検査学会が開催され、私は「運動器領域における超音波検査について」という演題で発表させて頂きました。

 運動器領域における超音波検査とは近年注目されている分野であり、当院理学療法士の方に声をかけていただいたのがきっかけでした。今回の発表は前十字靱帯再建術後の術後腫脹管理として超音波を用いて経時的に観察しえた症例について発表させて頂きました。本研究はまだまだ始めたばかりであり、様々な課題が残っています。今回の発表を運動器エコーの第一歩としてさらに知識を深め、技術の習熟に努めてまいりたいと思います。また、今回の研究では他部署との関わりにより、知識を広げることができました。これからも他部署との関わりを大切にしていきたいと思います。

 今回の学会で発表する機会を頂き、非常に貴重な経験となりました。また、会長賞を受賞できたことは、職場の諸先輩方や理学療法士の方々の惜しみない協力があってのものだと思います。深く感謝を申し上げます。





第33回奈良県立医学検査学会
学術奨励賞を受賞して


近畿大学医学部奈良病院 寺口 皓

 学術奨励賞受賞者が発表されたとき、率直なところ、喜びよりも驚きのほうが勝っていました。壇上へ上がって自席へ戻ってくるまでの間のことは、緊張のあまり、ほとんど思い出すことができないでいます。

 私は、2014年4月より、近畿大学医学部奈良病院臨床検査部へ配属されました。その初出勤の日も、自宅を出てから帰宅するまでの間のことは、緊張していたこと以外はほとんど思い出せません。

 同じく2014年度より、血液培養複数セット率向上へ向けて、ICTの介入が開始されました。ちょうどタイミングも良いし、良い勉強になるから、毎月の血液培養の集計をしてみないか、と、上司であり、ICMTとしてICTで活躍されていた、久保技術科長よりお誘いを受け、二つ返事でお受けしたことが今回の検討を行う大きなきっかけでした。その集計結果はICTを通じて臨床へ報告され、複数セット採取率向上の啓蒙のため、当院の血液培養検査の現状を医師へ訴える資料として活用して頂きました。介入後すぐには大きな結果は得られませんでしたが、毎月の集計を行ううち、徐々にグラフが右へ上がっていくとともに、私もこの変化に少しでも貢献できていることを実感し、日常業務で得られるものとはまた別の達成感を得ることができました。

 しかし、これで満足することなく、今回の検討で浮き彫りとなった課題の解決へとつながるような、有用な情報をICTへ提供できるように、日々努力していく所存です。また、今回の受賞を糧として、これからの検査医学に少しでも貢献できるような、研究・検討を今後も意欲的に行っていきたいです。





第33回奈良県立医学検査学会
学術奨励賞を受賞して



天理よろづ相談所病院 高橋 陸

去る5月22日、奈良県立医科大学にて第33回奈良県医学検査学会が開催されました。私は、「多項目自動血球分析装置 XN-3000におけるHGB-Oの評価」という演題で発表させて頂きました。

 ヘモグロビンの測定は、比色法を用いたSLS-ヘモグロビン法を測定原理としているため、乳び検体では正誤差を受けます。しかし、XN-3000において網状赤血球を測定した際に算出されるHGB-Oという項目はフローサイトメトリー法を用いるため、乳びの影響は受けにくいとされています。そこで、HGB-Oの実用性を調べるために今回の検討を実施しました。

結果として、HGB-Oは実用的でないという結論に至りましたが、HGB-Oの性能についての理解が深まり、とても良い経験になったと思います。

今回の学術奨励賞は、私個人の力だけではなく、職場の諸先輩方の熱心なご指導があったからこそ頂いたものと感謝しております。今回の検討で学んだ経験を活かして、今後も日々精進していきたいと思います。




生涯教育研修会のお知らせ



第10回 奈良SAS・生活習慣病セミナー〔専門-20〕

講師:
太田 浩世 先生(奈良県立医科大学 内科学第2講座)
木村 弘 先生 (奈良県立医科大学 内科学第2講座 教授)
山内 敏正 先生(国立東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 准教授)


日時:平成28年7月14日(木)18時30分〜21時00分
会場:奈良春日野国際フォーラム 

担当:機能検査分野(生涯教育研修:専門−20)
会費:1000円

【要旨】
口演1:間歇的低酸素と糖尿病に関する実験的研究 太田 浩世 先生
口演2:全身性疾患を睡眠からとらえる 木村 弘 先生
特別講演 肥満症の分子機構と治療戦略 山内 敏正 先生
パネルディスカッション  

SAS・生活習慣病に関心のある方、参加お待ちしております。

【問い合わせ先】
高谷 恒範(県立医科大学附属病院)
Tel: 0744-22-3051 (4240)
e-mail:takatani@naramed-u.ac.jp(左記@は全角です。半角の@に変更して送信ください)



みんなと一緒に菌力アップトレーニング
「菌トレ」五感を生かした同定の磨き方〔専門-20〕


講師:
阿部 教行 会員(天理よろづ相談所病院)
大楠 清文 先生(東京医科大学)

日時:平成28年7月23日(土)15時00分〜17時00分
会場:大和郡山病院  

担当:微生物検査分野(生涯教育研修:専門−20)
会費:無料(非会員:500円)

【要旨】
今回は大楠先生を招いて、おなじみの菌トレ講座を開いて頂きます。大楠先生の楽しい講義と共に、阿部会員に「質量分析で同定したLeptotrichia trevisaniiの症例」のタイトルで症例報告もして頂きます。
研究班終了後は、大楠先生をお招きしての懇親会も開催する予定です。 会費は1名4000円の予定で大和郡山駅近辺で行います。懇親会の準備もありますので、参加希望の方は7月10日までに問本までご連絡いただけます様、お願い致します。

【問い合わせ先】
問本 佳予子(県立医科大学附属病院)
Tel: 0744-22-3051 (4240) e-mail:kayokok@naramed-u.ac.jp(左記@は全角です。半角の@に変更して送信ください)



尿沈渣検査の極意part1〜基礎からトピックまで〜〔専門-20〕

講師:中村 彰宏会員(天理よろづ相談所病院)

日時:平成28年7月28日(木)18時30分〜20時00分
会場:天理よろづ相談所病院 南病棟 南別館4F会議室 

担当:一般検査分野(生涯教育研修:専門−20)
会費:無料(非会員:500円)

【要旨】
尿沈渣検査の基礎から最近の話題、特に血球成分を中心にお話しさせて頂きます。
新人検査技師の方は奮ってご参加ください。   

【問い合わせ先】
中村彰宏(天理よろづ相談所病院)
Tel:0743-63-5611 (8665)
e-mail:nakamurium_a802@yahoo.co.jp(左記@は全角です。半角の@に変更して送信ください)



超音波定期勉強会3「胆道系の超音波検査」〔専門-20〕

講師:松下 陽子 会員(天理よろづ相談所病院)

日時:平成28年7月28日(木)18時30分〜20時00分
会場:天理よろづ相談所病院 外来棟5階 中会議室 

担当:画像検査分野(生涯教育研修:専門−20)
会費:無料(非会員:500円)

【要旨】
胆道系について観察すべきポイントや検査のすすめ方などをお話ししていただきます。
講義に続いて症例提示もおこないますが、ほかに持参していただける症例などありましたら、DVD等の資料と一緒にお持ち寄り下さい。 

【問い合わせ先】
廣田 貴代(天理よろづ相談所病院)
Tel:0743-63-5611 (3136)
e-mail:cp-pu@tenriyorozu.jp(左記@は全角です。半角の@に変更して送信ください)



病理細胞診分野における保険点数について〔専門-20〕

講師:長井 澄絵 氏(サクラファインテックジャパン)

日時:平成28年9月2日(金)18時30分〜20時00分
会場:天理よろづ相談所病院 南病棟 南別館4F会議室

担当:病理検査分野(生涯教育研修:専門−20)
会費:無料(非会員:500円)  

【要旨】
病理細胞分野における保険点数は複雑な部分が多く、理解に苦慮する場合も少なくありません。
今回は保険算定の基礎から平成28年度診療報酬改定における変更点、そして最新トピックスまでお話しいただく予定です。

【問い合わせ先】
坂本真一(天理よろづ相談所病院)
Tel:0743-63-5611 (8416)
e-mail:sakamoto@tenriyorozu.jp(左記@は全角です。半角の@に変更して送信ください)





近畿微生物研修会のお知らせ



今年度も近畿微生物研修会が開催されます。 
8月最終週の土曜日、暑さも少しおさまり、夕暮れに吹く風に秋の気配が感じられるといいのですが・・・ でも、暑くても頑張って知識を仕入れに行きましょう!
この会は、30代の方が中心に、集まってくれた会員に今検討している内容や情報をレクチャーする事が主旨となっている会で、今年度奈良からは、大和高田市立病院の鈴木さんが血液培養の検出率等について報告して下さいます。

研修会終了後は懇親会も開かれます。研修会・懇親会とも出席人数の確認が必要なため、7月15日までに参加の有無を問本までお知らせください。

【日 時】 平成28年8月27日(土)9:30〜16:30
【場 所】 住友病院
【定 員】 200名
【受講料】 0円(非会員500円) 
【問い合わせ先】 問本 佳予子(県立医科大学附属病院)
Tel 0744-22-3051 (4240)
e-mail:kayokok@naramed-u.ac.jp(左記@は全角です。半角の@に変更して送信ください)

プログラム

10:00〜12:00 一般演題(第一部)司会 神戸大学医学部附属病院 中村 竜也 先生
1)「電子カルテおよび細菌検査システムを利用した微生物検査の短期取得に関する取り組み」
  国保日高総合病院 臨床検査科 中尾 光孝 先生
2)「感染対策加算申請への取り組み 〜検査室の現状と課題から見えてきたもの〜」
  京都鞍馬口医療センター 検査科 藤原 里紗 先生
3)「地域中核公立病院の血液培養調査について 〜公立大学との比較から得た知見〜」
  大和高田市立病院 臨床技術科 鈴木 啓太郎 先生
4)「血液培養から検出された螺旋菌の検討 〜螺旋菌の魅力について〜」
  福井県立病院 検査室 佐々木 千鶴 先生
12:10〜13:10 ランチョンセミナー  司会 神戸大学医学部附属病院 中村 竜也 先生
「ランチを食べながらの菌力アップトレーニング “菌トレ” 」
 東京医科大学 微生物学講座 教授 大楠 清文 先生 
13:25〜15:25 一般演題(第二部)  司会 住友病院 検査部 幸福 知己 先生
5)「各種血液培養ボトルの比較と性能について」
  滋賀医科大学附属病院 検査部 木下 愛 先生
6)「海外帰国者から複数の多剤耐性菌を検出した1症例 〜本症例の経験から学んだことは〜」
  大阪市立大学医学部附属病院 中央臨床検査部 小林 由佳 先生
7)「眼科感染症の症例と微生物検査 〜眼感染症学会に参加して〜」
  三栄会ツカザキ病院 臨床検査科 藤原 美樹 先生
8)「非結核性抗酸菌におけるCAM耐性機序の遺伝子学的解析〜特にM.abscessusの遺伝子変異について〜」 
  神戸大学医学部附属病院 検査部 楠木 まり 先生
15:30〜16:00 総合討論 




平成28年度 日臨技近畿支部研修会
「近畿支部指定輸血研修会」開催案内



主催
(一社)日本臨床衛生検査技師会 近畿支部
実務担当
福井県臨床(衛生)検査技師会
【テーマ】
「輸血検査の初級者への指導技術の標準化に向けて」
【日 時】
平成28年9月17日(土)13:00〜17:00 9月18日(日)9:00〜16:00
【会 場】
福井県立病院 3階 講堂
【定 員】
60名(講義+実技 どちらか一方の募集はありません)
【申込期間】
平成28年6月10日(金)から平成28年7月31日(日)まで

奈臨技行事予定(7月)



*行事参加されるかたは、当ページにて日程・会場の変更の有無を再度ご確認ください




編集後記

すっかり夏の気候ですね!私事ですが学会で仙台に行ってきて、初めてずんだ餅を食べました。すごく美味しいとゆうわけではないのですが癖になる味で自分のお土産に買って帰りました!是非仙台に行かれた時は食べてみてください☆
今まで近くの学会しか行ったことなかったですが、遠い会場の学会も楽しかったです。皆さんも機会があれば遠くの会場へ行ってみてください(*^^*)

広報委員K




* 奈臨技IT委員会からのお願い *

 奈臨技ホームページを、ご覧頂き有り難うございます。当委員会ではコンテンツ充実に、日ごろ心掛けておりますが、学術資料の更なる充実を図るため、論文、勉強会資料、推薦論文とその要旨などの投稿をお待ちしております。さらに、学術リンク集の掲載に向け、おすすめホームページの調査も行っております。ご協力をお願い致します。

また、奈臨技ホームページの更新状況などをお知らせする、奈臨技メーリングリストサービスも行っております。ご希望の方は、「配信希望」とお書きになり、下記メールアドレスか、Tel?F/FAXにてお申し込みください(メールアドレスなど個人情報は厳重に管理いたします)。

奈臨技IT委員会

連絡先 大林 準 (天理医学研究所)
(申し訳ありませんが、FAXか電子メールにてお願い申し上げます) 
FAX 0743-63-5611    e-mail: info@naraamt.or.jp(左記@は全角です。半角の@に変更して送信ください)



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