精度管理事業報告
[目的]
 当研究班は奈臨技統一サーべーには参加せず通常の活動の中で精度管理事業を実施しています。目的は、病理検査技術の取得と向上を目的とした特殊染色による施設間の染色性の差異並びに問題点について検討しています。
平成10年度
平成11年度
平成12年度
平成13年度
●平成10年度
実施内容 Helicobactor pyloriの鑑別染色]
(1) ワルチン・スターリー染色
(2) ギムザ染色
(3) チオニン染色
実施方法 各施設に未染色標本を配付し各施設で実際に行っている染色操作にて標本を作製し後日、検鏡検討会を開催した。
参加施設 参加7施設
天理よろづ相談所病院、奈良医大付属病院、奈良医大第二病理、吉田病院、奈良市総合医療検査センター、県立三室病院、県立奈良病院
検討結果 参加全施設において、すべての染色法でほぼ満足のゆく結果が得られた。ワルチン・スターリー染色で一部の施設において、切片の剥離が見られた。鍍銀法において、しばしば見られる現象で対処法としては、シランなどのコーティングされたスライドを用いる。鍍銀中の切片の取り扱いに十分注意を払うことなどで、かなり良い結果が得られる。ギムザ染色、チオニン染色では、通常の染色よりも、少し強めに染め上げる事により菌体観察には良い結果が得られた。
●平成11年度
実施内容 [HE染色] 
実施方法 各施設に未染色標本(胃生検材料、胃手術材料、腎剖検材料)3枚を配布し各施設で実際に行っている染色操作にて標本を作製し後日、検鏡検討会を開催した。同時に[HE染色]アンケートを実施した。
参加施設 参加9施設天理よろづ相談所病院、奈良医大付属病院、奈良医大第二病理、吉田病院、奈良市総合医療センター、奈良社会保険病院、高田市立病院、奈良県立三室病院、奈良県立奈良病院
検討結果 今回病理検査において最も標準的な染色法にも関わらず、各施設染色性にかなりの差が認められた。しかし、その施設の病理医の好みによるところが大きく一概に良、不良の判定ができなかった。又、今回用意した標本の薄切に若干の差が見られたのも原因の一つ考えた。また違った方法で実施したいと思います。
●平成12年度
実施内容 [アミロイド染色]
(1)   コンゴーレッド染色
(2)   DFS染色(ダイロン)
実施方法 各施設に未染色標本を配布し各施設で実際に行っている染色操作にて標本を作製、後日検鏡検討会を開催し評価を行った。
参加施設 参加8施設
天理よろづ相談所病院、奈良医大付属病院、奈良医大第二病理、吉田病院、奈良市総合医療検査センター、近畿大学医学部奈良病院、奈良県立三室病院、奈良県立奈良病院
評価方法 検鏡検討会において参加者全員で検鏡し下記の項目について評価し総合判定をおこなった。
@全体像の染色態度(スライドの汚れ、染色むら、共染の有無)
Aアミロイド陽性部位の染色態度
B核の染色態度
C結合組織の非特異反応

以上について、良(2点)、可(1点)、不可(0点)として合計12点満点で判定した。総合判定は以下の通りとした。
A   :染色上、目的を十分に達成している     (12〜11点)
B-a  :染色上、目的を達成している        (10〜 7点)
B-b  :染色上、目的を達成しているが今一歩である ( 6〜4点)
C   :染色上、目的に達成していない       ( 3点以下)
検討結果 参加全施設の総合判定結果は以下の表の通りであった。B-b、C判定の施設は無く、参加全施設においてすべての染色法でほぼ満足のゆく結果が得られた。DFS(ダイロン)染色は、コンゴーレッド染色に比べ比較的簡単に濃く染まる傾向が見られた。その為、共染に対する注意が必要であった。コンゴーレッド染色に於いては、アルカリアルコールによる分別操作を必要とする方法では、短時間でもすぐ色落ちするので染色むらに対する注意が必要であった。
総合判定 コンゴーレッド染色 DFS染色(ダイロン)
A 2施設 3施設
B-a 4施設 4施設
B-b
C
未提出 2施設 1施設
●平成13年度
実施内容 [グリメリウス染色]
実施方法 各施設に未染色標本を配布し各施設で実際に行っている染色操作にて標本を作製、後日検鏡検討会を開催し評価を行った。
参加施設 参加10施設
天理よろづ相談所病院、奈良医大付属病院、奈良医大第二病理、吉田病院、奈良市総合医療検査センター、近畿大学医学部奈良病院、奈良県立三室病院、奈良県立奈良病院、国立奈良病院、高田市立病院
評価方法 検鏡検討会において参加者全員で検鏡し下記の項目について評価し総合判定をおこなった。
@全体像の染色態度(スライドの汚れ、染色むら、共染の有無)
A好銀性陽性顆粒の染色態度
B核の染色態度
C結合組織の非特異反応

以上について、良(2点)、可(1点)、不可(0点)として合計12点満点で判定した。総合判定は以下の通りとした。
A   :染色上、目的を十分に達成している     (12〜11点)
B-a  :染色上、目的を達成している        (10〜 7点)
B-b  :染色上、目的を達成しているが今一歩である ( 6〜4点)
C   :染色上、目的に達成していない       ( 3点以下)
検討結果 参加全施設の総合判定結果は以下の表の通りであった。C判定の施設は無く、参加施設においては、ほぼ満足のゆく結果が得られた。しかし、B-a判定の施設に於いてもう少しでA判定になる施設から、かろうじてB-a判定になった施設もあり、全体的に見て同一の染色法を行っているとは思えない程、施設によって染色態度の違いが出た。グリメリウス染色での注意点は、銀液・還元液の反応温度と反応時間、再染色時の過染の防止であると考える。又、ブアン再固定を実施することにより、共染をかなり押さえることができた。
総合判定 グリメリウス染色
A 施設
B-a 施設
B-b 施設
C
合計 10施設
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