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心電図判読へのステップアップ 
「電気軸の速くて簡単な求め方」

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【はじめに】
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難易度  ★★★
基礎基本度★★★★★

心電図は、心臓の検査の中でも、手軽に出来てしかも患者さんに苦痛を与えない非侵襲的な検査です。
しかも心臓の最も基本的な検査です。
測定機器も電子機器の発達と共にコンパクトになり、心電図波形の読み取りも自動判定のついた心電計も販売され、昨今の心電計では電気軸も自動的に計算してくれるようになりました。
便利になった反面、ルーチンの中で自分で電気軸を求めたりする機会も少なくなり、電気軸を出してみようという意識も薄らぎぎみになっています。また、心電図波形をある程度読めるようになると電気軸をみなくても判定できる場合も多く、おろそかにしがちで、有効に使われていないのも現状ではないかと思われます。
電気軸を見ることでさらに心電図波形の判読にプラスに働くのは必至ですし、波形をみて「軸は○○度です」と速攻で答えられるようになれれば「すごい」と賞賛されること間違いなし、波形の判読力もup up間違いなしです。

電気軸を求めるには、目測法と作図法がありますが、臨床的には目測法が用いられています。今回の心電図ステップアップでは、電気軸の目測法について一緒に学んでいきたいと思います。

各心電図の誘導は、左側は上から下へ I 、 II 、 III 誘導、右側は上から下へaVR、 aVL、aVF誘導の順になります。

正常範囲: 0〜90度

QRSの電気軸が、−30度以下の場合左軸偏位と呼び、+110度の場合を右軸偏位と呼びます


【基本・作図をしましょう】

電気軸を求めるには、目測法と作図法がありますが、臨床的には目測法が用いられています。今回の心電図ステップアップでは、電気軸の目測法について一緒に学んでいきたいと思います。


(1)では、最初にこの心電図の電気軸を作図法を使って求めましょう



 I 誘導のQRSの平均振幅(陽性波と陰性波の振幅の代数和)は+8mm(R=9mm、Q=−1mm)、 II 誘導のQRSの平均振幅は+12mm(R=12mm、Q及びS=0mm)となります。 I  誘導軸上の+8のところに垂線を立て、 II 誘導の+12のところに立てた垂線との交点と原点とを結んだ線がQRS軸となります。0度を中心に時計回りに+○○度、反時計回りに−○○度となります。

この心電図の電気軸は+52度です。 I   II  III 誘導のQRS群をみると、それぞれ上向きに振れており、しかも II 誘導が一番高くなっています( II = I  + III )。aVL、aVFも上向きに振れ、右手の方向から見るaVRは遠ざかる方向のみに刺激が伝わるので下向きに振れています。基本的に四肢誘導では、aVRを除き、正常な場合でQRS群は上向きに振れるように出来ています。言い換えれば、正常な心電図であれば、QRS群でR波を超えるような下向きの波(大きなQ波やS波)や深いQ波・S波が出現することはありません。

この心電図(1)の電気軸:52度

このように作図をすれば電気軸は求められますが、これでは実用的ではありません。もっと簡単にわかる方法は、もっと便利な方法は無いでしょうか?日常検査の中で、心電図波形から瞬間的に電気軸がわかれば楽です、そんな方法は?(応用編へ続きます)


(参考文献)
新心臓病学第二版 石川恭三編 医学書院
フリードバーグ心臓病学第三版 青利和他 廣川書店
循環器病学 村田和彦他編 医学書院

(奈良県臨床衛生検査技師会 生理機能検査部門 循環機能)

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